生理痛がひどい原因は?9つの対処法と受診目安を紹介
多くの女性にとって毎月訪れる悩みの種である生理。
生理中は、プロスタグランジンという子宮を収縮させるホルモンの作用により、多少の痛みがあるのは自然なことです。
しかし、生理中のひどい痛みによって、「仕事ができない」「家事ができない」など、日常生活に支障が出る方もいます。
このような日常生活に支障をきたすほどの状態を、月経困難症といいます。
月経困難症は腹痛だけでなく、頭痛や腰痛、吐き気、貧血、下痢、発熱、イライラ、肌荒れなど、症状はさまざまです。
この記事では、生理痛がひどくなる原因や対処法、受診目安などを紹介します。
生理痛がひどくなる原因
生活に支障をきたすほど生理痛がひどくなる月経困難症は、大きく分けて機能性月経困難症と器質性月経困難症の2種類あります。
ここでは、それぞれの原因について詳しく解説します。
機能性月経困難症
明らかな原因疾患がない月経困難症を機能性月経困難症といいます。
子宮の成熟が未熟な10~20代前半の女性に多く、月経の1~2日目にひどく痛むという特徴があります。
以下の5つが痛みを強くさせる主な要因とされています。
- プロスタグランジン過分泌子宮による過収縮
- 子宮の入り口が狭い
- 心身のストレス
- 血行不良
- 食生活
心身のストレスや血行不良、食生活などで痛みが強くなるとされていますが、一般的に子宮の成熟や出産により生理痛が軽くなることが多いです。
器質性月経困難症
機能性月経困難症とは違い、明らかな原因疾患により起こる月経困難症を器質性月経困難症といいます。
20代後半以降の女性に多くみられ、年を重ねるごとに増加し、生理中以外にもさまざまな症状が起こります。
以下の3つが主な器質性月経困難症の原因となる病気です。
- 子宮内膜症
- 子宮腺筋症
- 子宮筋腫
自然治癒は見込めず、治療せずに放置していると原因となっている病気が進行し、症状の悪化や不妊、早産となる可能性が高まります。
30代になってから初産を迎える方も増加しているため、妊娠に必要な能力をキープするためにも、病気の早期発見・治療が必要です。
生理痛がひどい時の対処方法
生理痛がひどい時には、すぐにでも痛みを和らげたいと思う方が多いでしょう。ここでは、生理痛がひどい時の対処法を9つ解説します。
体を温める
生理痛がひどいときは、ひざ掛けや毛布をかける、湯たんぽやカイロをあてるなど、下腹部や腰を中心に体を温めましょう。
体が冷えていると子宮の動きが鈍くなり、プロスタグランジンという子宮を収縮させるホルモンの分泌量が増加し、血管が強く押し広げられ子宮が過収縮することで痛みが増します。
また、生理痛を和らげるためには、日ごろから体を冷やさないことを意識しましょう。
夏の暑い時期でも、冷房の風で体を冷やしてしまうことがあるため、シャワーだけではなく入浴や足湯をするなど、意識的に体を温めることが大切です。
冷たい飲食物や糖分などを避ける
生理痛がひどいときは、冷たい飲食物や糖分、カフェインなどは避けましょう。具体的には、以下のような食べ物です。
- 冷たい飲物
- ジュース
- アイスクリーム
- ケーキ
- コーヒー
- 紅茶
冷たい飲食物が体を冷やしてしまうのはもちろん、砂糖を多く使った飲食物を摂取することでも同じことが起こります。
砂糖を多く摂取することで、血糖値が上昇し血液がドロドロになり、血流が悪くなって体が冷えてしまいます。
また、カフェインには血管収縮作用があるため、摂取することで血流が悪くなり体が冷えてしまいます。
そのため、コーヒーや紅茶などのカフェインの入った飲食物の摂取も控えるようにしましょう。
青魚やナッツ類を食べる
生理痛がひどいときに摂取した方が良い飲食物は、青魚やナッツ類です。
青魚には、EPAという栄養素が脂に多く含まれています。EPAを摂取することで、血栓の生成を抑える作用により、血流が良くなり体を温める効果があります。
EPAは人の体内で作られにくい成分のため、多く含まれているサバやマグロなどの青魚を積極的に摂取しましょう。
また、ナッツ類にはマグネシウムという栄養素が多く含まれています。マグネシウムを摂取することで、筋肉の収縮や体温・血圧の調整に効果があります。
特にアーモンドには、豊富なマグネシウムが含まれているため、間食に摂取するのも良いでしょう。
痛みを和らげる姿勢をとる
生理痛がひどいときは、血流を妨げない姿勢を意識しましょう。
痛みが強いと、どうしても猫背になりがちです。しかし、猫背は腹部の血管が圧迫され血流が悪くなることがあるため、できるだけ背筋を伸ばすことが重要です。
また、足を組んで椅子に座る、床に横座りをしたりするなどのクセがある人も、長期間繰り返すことで骨盤がゆがみ、子宮や血管が圧迫され血流が悪くなることがあります。
そして寝るときの姿勢は、体を軽く曲げて横向きに寝ることで、お腹の血流が良くなり、痛みが和らぐでしょう。
適度な運動をする
骨盤や股関節周りの筋肉を動かす適度な運動を取り入れることで、全身の血流が良くなり、体を温める効果があります。
とくに生理痛がひどいときは、以下の運動を試してみてください。
- ストレッチ
- 軽いウォーキング
- ヨガ
ただし、あまりにも生理痛がひどいときは無理をせずにまずは体を休め、自分にできそうな運動から始めてみましょう。
ツボを刺激する
生理痛がひどい時に手軽にできる対処法としては、ツボ押しやツボ温熱療法がおすすめです。
ツボを心地よいと感じる程度に優しく刺激するのがポイントで、特に以下3つのツボは効果があるとされています。
- 合谷(ごうごく)
- 気海(きかい)
- 三陰交(さんいんこう)
合谷は、手の甲側で親指の骨と人差し指の骨が交わるところにあり、体のさまざまな不調に効果があるとされている万能のツボです。
気海はおへそから指約2本分下にあり、全身の血流をよくし、体を温めることができます。
三陰交は足の内くるぶしから指4本分上、スネの内側にある骨のキワです。生理痛や生理不順など、女性特有の疾患に効果が期待できます。
リラックスする
生理痛がひどいときは、リラックスして血流を良くするのもおすすめです。
痛みや日常生活のストレスにより自律神経が崩れると血流が悪くなり、冷えを感じてしまいます。
人によってリラックス方法はさまざまですが、特に生理痛がひどいときは以下の方法を試してみてください。
- 締め付けの少ないゆったりとした服装で過ごす
- 深呼吸をする
- 温かい飲み物を飲む
- アロマテラピー
- 好きな音楽を聴く
これ以外にもリラックス方法はたくさんあります。自分に合ったリラックス方法を見つけてください。
市販の鎮痛薬を早めに飲む
生理痛がひどくなりそうなときは、痛くなる前に鎮痛剤を飲むようにしましょう。
「生理痛のたびに薬を飲むと、効果が薄れていきそう」と不安を感じる人もいるかもしれませんが、容量・用法を守って生理期間中のみ服用する分には、体に過度な負担をかける心配はありません。
鎮痛剤でよく使用されているイブプロフェンは、痛みの原因物質であるプロスタグラジンの合成を阻害することで痛みを抑制します。
そのため、生理痛がひどくなった状態、原因物質であるプロスタグラジンがすでに合成された後では、効果を実感できるまでに時間がかかってしまいます。
しかし、日ごろから頭痛で鎮痛剤を飲む習慣がある人は、かえって痛みに対して敏感になってしまう恐れがあります。
痛くなる前に鎮痛剤を服用しても効果を感じられないときや、月に10日以上鎮痛剤を服用する場合は、婦人科の専門医に相談しましょう。
婦人科を受診する
生理痛がひどいと感じた時は、婦人科を受診しましょう。
婦人科を受診することで、痛みの要因が病気による器質性月経困難症なのか、それとも明らかな原因疾患がない機能性月経困難症なのか判断できます。
器質性月経困難症を治療せずに放置すると、根本的な病気が悪化し、不妊や早産のリスクが増す可能性があります。
そのため、早期の受診と適切な治療は不可欠です。専門医の診察を受けて、具体的な治療法を相談しましょう。
生理痛がひどいときの受診目安
生理痛の痛みの感じ方は人それぞれ異なるため、受診するタイミングも人により異なります。ここでは、生理痛がひどいときの受診目安について詳しく解説します。
生理の症状が以前よりも強くなったと感じる
生理の症状が以前よりも強くなったと感じたら、受診するのが望ましいです。以前よりも症状が強くなったと感じる要因には、以下のようなものがあります。
- 生理の痛みが以前より強くなっている
- 出血量が増えた
- レバー状の塊として出てくる
- 鎮痛剤が効かなくなった
- 生理期間中ずっと痛みがある
- 生理ではない日にも痛みがある
どのような症状がいつ、どれくらい出ていたのかメモをとって、受診のときに婦人科の専門医と相談をしましょう。
生理が不規則
生理が不規則になったときも、受診を検討しましょう。生理が不規則だと感じる要素として、以下のものがあります。
- 1週間以上生理が続く
- 予定通り生理が来ない
不規則であると気づくためには、自身の生理周期をきちんと把握しておく必要があります。日ごろから生理周期基礎体温表を記録し、受診の際にもって行くようにしましょう。
日常生活に支障が出る
生理痛により日常生活に支障が出る場合も、受診を検討しましょう。日常生活に支障が出る要素として、以下のものがあります。
- 起き上がるのがつらい
- 学校や仕事に行くことができない
- 家事ができない
「毎月のことだから仕方ない」とあきらめるのではなく、一度専門医に相談してみましょう。
生理痛がひどい時の診察内容
婦人科での受診はどういったものなのか、不安に思う方もいるでしょう。ここでは、実際にどういった検査や治療が行われるのか、当日に準備することなどを解説します。
検査・治療
診察は問診、内診、超音波検査、血液検査、性感染症検査、必要に応じてMRI検査などを行います。月経困難症での治療法には以下のようなものがあります。
- 鎮痛薬
- 漢方薬
- 低用量ピルの活用
- 原因になっている病気を治療する
放置すると治療方法の選択肢が狭まる可能性があるため、早めに病気を発見することで、希望の治療法を選択できます。
専門医と相談をしながら自身に合った治療法を見つけましょう。
持ち物・服装
当日の持ち物や服装は以下の通りです。
- 保険証
- 直近2~3か月の生理周期基礎体温表
- 着脱しやすい上下が分かれた服装(スカートが望ましい)
受診するタイミングは出血をしていない時期が良いため、生理後に予約を入れるようにしましょう。
まとめ
生理痛がひどい原因や対処法などを詳しく解説していきました。
「生理がひどい」「痛みが強い」「もしかしたら病気かもしれない」悩みはそれだけでストレスとなり、痛みの増加につながる可能性があります。
不安に感じたら婦人科を受診し、病気なのかそうでないのか、そして治療は可能なのか相談することで、一つずつ不安を解消していきましょう。
専門医と相談することで鎮痛剤や漢方、ピルなど適切な薬を使用することも有効です。
ひどい生理痛にお悩みの方は、オーダーメイドの治療を提供する『三軒茶屋ウィメンズクリニック』にご相談ください。
土曜日と夜間診療に対応しており、徹底したプライバシーの保護に努めております。ひどい生理痛でお悩みの方は、お気軽にお問合せください。
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