生理前の症状は月経前症候群(PMS)!イライラ・不快がおこる理由と改善策を紹介

あぐらをかいて、手で持ったハートマークを下腹部にかざしている女性の画像

定期的にやってくる生理は、それ自体は女性のからだにとって馴染みあるものであり、必要なものでもあります。

期間や量などを含め、生理に対する感覚は人それぞれ違い、その中でも、生理前にからだやこころに現れる症状は、十人十色です。

変動はあれど閉経までの数十年間続く症状だけに、悩むよりは上手に付き合っていきたいものです。

この記事では、生理前の症状や改善方法のアイディアについて、紹介していきます。

生理前の症状は月経前症候群(PMS)

カレンダーと時計の画像

頭痛があったり、イライラしたり、なぜかわからずただ不快な症状があるのが生理前の当たり前だと思っていませんか?

もしかしたらそれは、月経前症候群(PMS)という病気かもしれません。

まずは、月経前症候群(PMS)について、詳しく紹介します。

月経前症候群(PMS)とは

月経前症候群(PMS)premenstrual ayndromeは、日本産婦人科医会によると以下のように定義されています。

「月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するもの」

出典:公益社団法人『日本産婦人科医会

生理前の前兆として3~10日間に現れる症状は、PMSと呼ばれています。

その症状は人によりさまざまですが、生理が始まると軽くなったりなくなったりします。

日常生活が不便になるほどの症状がある例もあり、生理がある女性のうち7~8割の方が大なり小なり感じている不快は、PMSの可能性があります。

月経前症候群(PMS)の原因

女性の身体は、排卵から生理が始まるまでの期間にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。

その後半(生理前)に両ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことがPMSの原因と考えられています。

脳内神経伝達物質のセロトニンやGABAと、女性ホルモンの相互作用の関連という説もあります。

また、過度のストレスや肥満、喫煙、飲酒などの生活習慣が影響している可能性もあり、これという原因がはっきりとわかっていないのが現状です。

生理前の症状

お腹を押さえる女性の画像

ここでは、生理前におこる症状を紹介します。

からだに現れる症状と、こころに現れる症状に分けてあげていきます。

からだの症状

以下は、主にからだに現れる症状の例です。

  • 頭が痛い
  • 腰が痛い
  • 肌が荒れる
  • 関節痛・筋肉痛がある
  • 手足などむくみがある
  • 下腹部の張り、痛み
  • 便秘、下痢
  • 乳房の張り、痛み
  • 疲労感、だるさ
  • 体重が増える
  • 吐き気がある
  • ほてり、のぼせ、めまい、動悸
  • 冷え性の悪化
  • 眠れない、眠気がやまない
  • 食欲の増減    など

こころの症状

主にこころに現れる症状の例です。

  • イライラする
  • 怒りやすくなる
  • 鬱状態になる
  • 気持ちの浮き沈みが激しい(情緒不安定)
  • ひきこもりがちになる
  • 集中できない
  • 理由なく不安になる    など

このように、からだにもこころにもさまざまな症状が出てきます。

ここにあげた以外でも、生理前だけ感じる症状であれば、PMSの可能性があります。

一つだけの場合もあれば、複数の症状が同時におこることもあり、毎回同じとも限りません。

人によっては、頭痛が酷すぎて日常生活、社会生活すらままならないこともあります。

自分自身のコントロールが効かないことにより、気分が落ち込んだりイライラしたりして周囲の人にあたることになり、ますます情緒不安定になるなど、悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

症状が少なかったり軽かったりすると、PMSが原因だとわからない場合もあります。

セルフケアでできる改善策

床であぐらをかいてリラックスした様子の女性の画像

セルフケアで、PMSの症状を改善できるよう、生活習慣や環境を整えてみましょう。

食生活を見直したり、ストレスをためずリラックスして過ごすことにより、からだもこころも安定します。

ここからは、セルフケアでできる改善策を紹介します。

食事や生活習慣を整える

生理前にイライラしたり肌が荒れたりと、PMSの困った症状が出てきます。

食事や生活習慣を整えることで、症状の軽減が期待できます。

バランスの良い食生活

意識しないと普段の食事で取り入れるのが難しい、不足しがちな栄養素を補いましょう。

積極的に取り入れたい栄養素3つをご紹介します。

栄養素食品名食材名
カルシウム乳製品牛乳・ヨーグルト・チーズなど
魚介類しらす、ししゃも、干しエビなど
大豆製品豆腐、高野豆腐、納豆、きな粉など
野菜小松菜、モロヘイヤ、チンゲン菜、春菊など
海藻類わかめ、ひじき、あおさなど
ビタミンB6肉類ビーフジャーキー、鶏むね肉、鶏ささみなど
魚類びんちょうまぐろ、かつお、さんまなど
穀類フライドポテト、焼き芋、玄米など
野菜ブロッコリー、ししとう、バナナなど
マグネシウム魚介類煮干し、いくら、あさりなど
海藻類桜エビ、焼きのり、ひじきなど
野菜切り干し大根、ほうれん草、ごぼう、オクラなど
穀類あわ、きび、そばなど
豆・ナッツ類ごま、アーモンド、落花生、油揚げなど

これらの食品を意識して、食事に取り入れるといいでしょう。

一つのものを多くではなく、バランス良く色々な食材を食べることで、PMSに対してだけではなく、健康的な食生活をすることにも繋がります。

これ以外にも、ニキビ予防対策にビタミンB2や、生理前に低下しがちなセロトニンの原料になるトリプトファンという栄養素も効果的です。

知識として知っておき、ストレスなく食生活を改善していくことが大切です。

控えるべきもの

カフェイン(コーヒー、紅茶など)やアルコールは、控えた方が良いです。

特に、睡眠不足や眠気がおさまらないなどの症状がある場合は生活リズムが乱れてしまいます。意識して規則的な睡眠をとるようにしましょう。

また、生理前は甘いものが欲しくなる時期でもありますが、食べ過ぎると血糖値が急上昇する危険もあります。全く禁止するまでいかなくとも、控えめにと意識してみてください。

そして、喫煙にも注意が必要です。PMSを悪化させる要因になるため、禁煙を心がけることが推奨されます。

睡眠時間にも気を配り生活習慣を規則正しく整えることで、自律神経も整っていきます。

運動でリフレッシュ

適度な運動も効果的です。

汗をかきストレスを発散するだけでなく、脳内物質(エンドルフィン)が分泌することにより、頭痛や腹痛などの痛みが軽減する効果があります。

無理のない範囲で、軽いストレッチから始めてみるのもいいでしょう。

ヨガやウォーキングなど、有酸素運動を中心に自分のペースでできるものもおすすめです。

ただし、運動習慣がなかったのに、急に激しい運動をするのはからだへの負担が大きく、怪我などの危険があるので避けてください。

その時だけというよりも、習慣化していくことが大事です。

運動しなければとストレスにならないように、自分に合った楽しく続けていける運動を見つけていきましょう。

リラックス法

PMSの症状を和らげるためには、リラックスできる環境を整えることも大事です。

生理前に女性ホルモンが乱れることにより、自律神経のバランスも乱れていきます。

PMSの原因かもしれないとされているセロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、その分泌が低下することでイライラや情緒不安定などを引き起こすことにも繋がります。

アロマテラピー

アロマオイルや精油を使い、香りで手軽にできるリラックス方法として馴染みがある方法です。

ただし、香りには好き嫌いがあることや、自分の体質に合わないこともあります。

まずは好きな香りを探してみるのもいいでしょう。

専用のアロマディフューザーで優しい香りを楽しむと、リラックスできて幸せな気分になれます。

おすすめのアロマオイルは、ラベンダー、ゼラニウム、カモミール、クラリセージなどで、生理前のイライラや頭痛、不眠の緩和に効果があるとされています。

効能重視で選んだり、好みの香りのリラックス効果を選んだり、試行錯誤するのも楽しい時間です。

自分で選んだアロマオイルで、下腹部や腰をマッサージするのも良いでしょう。

注意点として、マッサージなどに使用する場合は、必ずキャリアオイルなどで希釈して薄め、パッチテストをしてからにしましょう。

オイルを直接肌に塗ると、刺激が強すぎて肌荒れや色素沈着など引き起こす可能性もあるため、成分や注意書きを必ず確認して正しく使用しましょう。

また、症状に適さなかったり、悪化させたりする効能のあるものは使用しないように注意が必要です。

入浴

入浴にはホルモンバランスを整える効果もあります。

背中を中心にしっかりからだを温めて、自律神経を整えましょう。

就寝の1時間から2時間前に入浴することで、からだがゆっくり冷めていく間に眠りやすくなります。

38~40度の湯船に20分ほど浸かることで、全身が温まります。

なお、入浴中に前述のアロマオイルを使用するのもリラックス効果を得られますので、効能に注意しつつ活用してみてください。

病院での治療法

医師の説明を聞く患者の画像

どうしても我慢できない!セルフケアでは改善できない!とお悩みの方は、病院へ相談してください。

ここでは病院にかかった場合の治療法をご紹介します。

漢方薬

複数の症状改善を目指すのが、漢方薬による治療方法です。

こころとからだのバランスを整え、症状の緩和を期待できます。

PMSに効果があるとされる代表的な漢方薬は、

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
  • 五苓散(ごれいさん)
  • 抑肝散化陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

自己判断で市販の漢方薬を購入するより、専門家に相談し、自分の症状や体質を伝え、改善に役立つ漢方薬を処方してもらうようにしてください。

なお、漢方薬を医師に処方してもらうと保険適用になるため、費用を抑えるメリットがあります。

薬物療法

病院で医師に相談し、薬を使用して治療していくのも選択肢の一つです。

カウンセリングを受けて、症状に合った治療法をすることができます。

対症療法

症状に対して薬で対処する治療です。

例えば、頭痛や腹痛などの痛みなら鎮痛剤、不眠なら睡眠導入剤などです。

市販の薬で楽になる場合もありますが、診断の上医師から処方される薬で安心感を得ることもできます。

排卵抑制療法

生理によるホルモンバランスの乱れを止める、低用量ピルを使用するのが排卵抑制療法です。

飲んでいる期間だけ排卵を止めて、女性ホルモンの変動をおこさせないようにできます。

妊娠を望み排卵をおこしたい場合は飲むのを止めれば再び排卵が始まります。

妊娠を計画しやすく、将来に影響が出にくい治療法です。

ただし、血栓症などの副作用が出る場合もあるため、必ず医師に相談し、処方できるか診断してもらいましょう。

まとめ

生理前にからだとこころに現れる不快な症状は、PMSが原因の可能性があります。

生理が始まると治まるとはいえ、前日までは日常生活すらままならないこともあります。

セルフケアとしてできる改善をしてみて、食事や生活習慣に気を付けて、ストレスをためずリラックスできるようにしてみてください。

そして、我慢できないほどの症状がある場合は一人で悩まず、医療機関を受診し、相談しましょう。

自分に合った方法を見つけ、PMSと上手に付き合い、自分をいたわってあげてください。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、女性ライフパートナーとして一人ひとりに寄り添う診療を行います。

日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本生殖医学会認定 生殖医療専門医をはじめとする資格を持つ院長を中心とし、スタッフと共に安心してご相談いただける婦人科を目指しております。

生理前の症状について不安のある方や、改善の方法を探している方は、ぜひ三軒茶屋ウィメンズクリニックまでお気軽にご相談ください。

月経前症候群 #PMS #生理 #月経

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