卵子凍結に利用できる補助金は?制度概要や申請の流れについて解説

卵子凍結 補助金

卵子凍結に関する助成制度には『卵子凍結に係る費用への助成』と『凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成』の2つがあります。

これらは少子化対策の一環として東京都が始めたもので、助成の対象要件となるオンライン説明会への参加申し込みは2023年11月時点で5000人超の申込みがあったようです。

この記事では、卵子凍結に利用できる上記2つの制度についてそれぞれ解説します。

『卵子凍結に係る費用への助成』の具体的な申請手順もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

卵子凍結にかかる費用例

卵子凍結 補助金

卵子凍結にかかる主な費用項目は以下が挙げられます。

  • 各種検査費用(感染症検査、ホルモン検査等)
  • 排卵誘発費用(内服薬、注射薬、経膣超音波検査等)
  • 採卵(OPU)費用
  • 卵子凍結費用
  • 凍結保管費用
  • 凍結延長費用

採卵費用は個数問わず費用固定のところと、個数ごとに費用がかかるところがあります。

卵子凍結は自由診療で医療機関によって費用が異なるため、上記全ての項目を含めた費用で複数医院の費用を比較検討してみると良いでしょう。

ちなみに三軒茶屋ウィメンズクリニックの卵子凍結にかかる費用は以下の通りです。

各種検査(感染症検査、ホルモン検査等含む)約44,000円
採卵までの排卵誘発の費用(内服薬、注射薬、経膣超音波検査等含む)約33,000円
採卵費用(採卵個数問わず)約220,000円
卵子凍結約22,000円
凍結延長費用(1年ごと)卵子1個ごとに22,000円

卵子凍結に関する東京都の補助金は2つある

卵子凍結 補助金

卵子凍結に関する東京都の補助金は以下の2つが挙げられます。

  • 卵子凍結に係る費用への助成
  • 凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成

ここでは上記2つの制度についてそれぞれ解説します。

卵子凍結に係る費用への助成

『卵子凍結に係る費用への助成』は、加齢などによる妊娠機能の低下が懸念される場合に行う卵子凍結に係る費用を助成してもらえる制度です。

対象となる施術

この助成の対象となる施術は、排卵準備のための投薬・採卵・卵子凍結です。

初診料や検査費用に対する助成はありませんが、卵子凍結の際に行う排卵誘発・採卵・卵子凍結までは助成してもらえます。

卵子凍結は自費診療のため保険が適用できませんが、この助成を利用すれば自己負担額を大きく軽減可能です。

対象者・対象要件

対象者は東京都に住む18歳から39歳までの女性です。

『卵子凍結に係る費用への助成』はあくまでも加齢による妊娠機能の低下が懸念される場合に活用できる助成制度のため、不妊症治療を目的とした採卵・卵子凍結を行う方は対象外となります。

また東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業(小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業)の対象となる方も対象外です。

こちらの事業の詳細については、東京都保健医療局の公式ホームページに掲載されている制度概要をご確認ください。

参考:東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業 東京都保健医療局

『卵子凍結に係る費用への助成』に申し込むためには、以下の対象要件全てを満たす必要があります。

  1. 都が開催する卵子凍結に係る費用の助成対象者向け説明会へ参加した後、調査事業への協力申請を行い、協力承認決定を受けること。
  2. 本人が説明会に参加した日から1年以内に、卵子凍結に係る医療行為を開始すること。
  3. 説明会への参加を申し込んだ日から未受精卵子の凍結が完了し、都へ申請する日までの間、継続して東京都の区域内に住民登録をしていること。
  4. 説明会へ参加した日以降に、登録医療機関において医療行為を開始すること。
  5. 排卵を実施した日における対象者の年齢が18歳以上40歳未満であること。
  6. 凍結卵子の売買、譲渡、その他第三者への提供を行わないこと。また、海外への移送は行わないこと。
  7. 凍結卵子を用いて生殖補助を実施する場合は、必ず夫(婚姻の届出をしていないが、事実上の婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の精子を使用すること。
  8. 卵子凍結後も都の実施する調査に対し、継続的に回答すること。(調査は令和10年度まで実施)
  9. 調査協力助成を受けようとする医療行為について、他の法令等の規定により、国又は地方公共団体の負担による医療に係る給付の対象とならないこと。

引用元:卵子凍結に係る費用の助成|東京都

助成金額

『卵子凍結に係る費用への助成』の助成金額は卵子凍結を実施した年度に上限20万円、次年度以降、保管更新時の調査に回答した際に1年ごと1律2万円(最大5年間)となり、合計最大30万円です。

医療機関でかかる費用すべてが対象となるのではなく、採卵準備のための投薬・採卵・卵子凍結にかかる費用のみとなります。

凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成

『凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成』は、加齢などによる妊娠機能の低下を懸念して作成した凍結卵子を使用した生殖補助医療に係る費用を助成してもらえる制度です。

対象となる施術

この制度の対象となる施術は、卵子融解・受精・胚培養・胚凍結・胚移植・妊娠確認です。

対象者・対象要件

『凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成』は妻の年齢が43歳未満の夫婦が対象となります。

以下の要件全てに当てはまる人のみ申込みできます。

  1. 「1回の生殖補助医療」の開始日から申請日までの間において、夫婦(事実婚を含む。)であること。
  2. 「1回の生殖補助医療」の開始日における妻の年齢が43歳未満の夫婦(事実婚を含む。)であること。
  3. 「1回の生殖補助医療」の開始日から申請日までの間、以下のいずれかに該当すること。
    ア 法律婚の夫婦にあっては、夫婦いずれかが継続して都内に住民登録をしていること。
    イ 事実婚の夫婦にあっては、夫婦ともに継続して都内の同一住所に住民登録をしていること。
  4. 医療保険が適用されず、かつ不妊治療を目的としない未受精卵子の凍結保存を実施し、知事があらかじめ登録する登録医療機関において、当該未受精卵子を用いて生殖補助医療を実施したこと。

引用元:凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成

助成金額

『凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成』は、凍結卵子を融解して受精を行った場合に1回上限25万円、以前に凍結卵子により作成した凍結胚を融解して胚移植した場合に1回上限10万円の助成金を受け取れます。

初めて助成を受けた際の1回の医療行為の開始日において、妻の年齢が40歳未満なら6回、40歳以上なら3回まで助成金を受け取ることが可能です。

また1子ごとに回数はリセットされます。

卵子凍結の補助金を受け取る流れ

卵子凍結 補助金

ここでは卵子凍結をする際に利用できる『卵子凍結に係る費用への助成』に申し込む場合の、補助金を受け取るまでの流れについて解説します。

補助金支給までの流れは以下の通りです。

  1. 対象者向け説明会への参加
  2. 調査事業への協力申請
  3. 登録医療機関受診・卵子凍結の実施
  4. 助成金申請
  5. 助成金受給

ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。

対象者向け説明会への参加

『卵子凍結に係る費用への助成』に申し込むためには、対象者向け説明会への参加が必須となります。

説明会に参加後、有効期限は1年間となるため申請のし忘れに注意しましょう。

説明会はオンライン会議ツールで開催されるため、通信環境の良いところで参加することをおすすめします。

説明会は各回定員があるため、なるべく早めに申し込むと良いでしょう。

その他の細かな注意事項については東京都福祉局のホームページをご確認ください。

調査事業への協力申請

対象者向け説明会に参加後、調査事業への協力申請を行います。

必要な添付書類は以下の通りです。

必要書類詳細備考
住民票の写し・マイナンバーの記載がないもの ・原本をPDFまたは画像データにして添付・卵子凍結を実施する本人の住民票 ・申請日から3か月以内に発行されたもの ・郵送で申請する場合は原本の提出が必要
戸籍の附票説明会申込日と申請日で住所が異なる場合に必要
誓約書・様式をダウンロード後、自著で提出 ・自著下原本をPDFまたは画像データにして添付・誓約書の内容に同意される場合のみ参加可能 ・誓約書原本は手元に大切に保管する

上記の必要書類の発行などにかかる手数料は自己負担となります。

登録医療機関受診・卵子凍結の実施

『卵子凍結に係る費用への助成』を利用するためには、登録医療機関の受診が必要です。

登録医療機関は以下のページでご確認ください。

参考:【PDF】卵子凍結への支援に向けた調査事業登録医療機関一覧(令和6年5月8日時点)

卵子凍結は受診した登録医療機関が指定する施設で実施となります。

受診する医療機関と保管施設が異なる場合があるため、詳しくは各医療機関に直接ご確認ください。

助成金申請

卵子凍結に係る医療行為終了後、卵子凍結への支援に向けた調査事業受診等証明書(凍結時)の記入を医療機関に依頼する必要があります。

文書の作成には数日〜数週間の時間がかかる可能性があるため、時間に余裕をもって依頼しましょう。

助成金申請には以下の書類が必要になります。

必要書類詳細備考
卵子凍結への支援に向けた調査事業受診等証明書(原本)東京都福祉局ホームページから様式をダウンロード後、医療機関に記入を依頼 ・原本をPDFまたは画像データにして添付・原本は本人が保管 ・記入内容に誤りがあった場合、本人から医療機関への訂正依頼が必要
住民票の写し(原本)・マイナンバーの記載がないもの 原本を裏表ともPDFまたは画像データにして添付・卵子凍結を実施する本人の住民票 ・申請日から3か月以内に発行されたもの
戸籍の附票説明会申込日と申請日で住所が異なる場合に必要
領収書のコピー・助成対象となる費用に係るもの ・合計金額が申請額以上可動額である必要がある ・PDFまたは画像データにして添付・原本は本人が保管 ・請求書やクレジット売上票では受付不可
通帳等のコピー・振込先口座番号が記載されたもの・提出必須ではないが、振込事故防止のために添付したほうがよい
卵子凍結に関するアンケート調査(凍結時)・事業協力承認決定通知書が送られた方に対してアンケートフォームのリンクが送付される
卵子凍結への支援に向けた調査事業 調査協力(凍結時)助成申請書マイナンバーカード認証付申請フォームを使用しない場合に記入が必要・電子申請フォームに入力するため、別途添付の必要はなし
支払金口座振替依頼書マイナンバーカード認証付申請フォームを使用しない場合に記入が必要・電子申請フォームに入力するため、別途添付の必要はなし

申込みは原則電子申請となり、マイナンバーカードでの認証が必要になります。

参考:『卵子凍結に係る費用の助成 事業概要』(東京都福祉局)

助成金受給

すべての書類が提出できて要件もきちんと満たされている場合、電子文書にて『調査協力助成承認決定通知書』が届きます。

調査協力助成承認決定通知書が届いた1か月程度を目安に、指定の口座に助成金が振り込まれます。

要件が満たされていない場合は『不承認決定通知書』が届くため、通知内容を確認しましょう。

卵子凍結の補助金に関するよくある質問

卵子凍結 補助金

卵子凍結の補助金に関するよくある質問をまとめました。

  • 卵子の凍結・保存は保険適用できる?
  • 決定通知が来る前に治療を開始できる?

ここでは上記2つの質問についてそれぞれ回答します。

卵子の凍結・保存は保険適用できる?

卵子凍結は保険適用外となります。

卵子凍結を目的とした検査や処置などにも保険は適用されませんが、『卵子凍結に係る費用への助成』を利用することで費用負担を大きく抑えることが可能です。

また保険適用外の治療は医療機関によって料金設定が異なるため、費用を抑えたい場合は複数の医療機関の費用を比較検討しましょう。

決定通知が来る前に治療を開始できる?

原則として、協力承認決定通知書を受領した後で卵子凍結を行うことが推奨されていますが、やむを得ない場合は受領前でも助成対象となります。

しかし要件を満たせずに不承認決定通知書が届いた場合、自己判断で開始した卵子凍結に係る費用は助成対象外となります。

決定通知書が届く前に治療を開始したい場合は、要件をしっかり確認したうえで書類を提出しましょう。

まとめ

卵子凍結する際は東京都の場合『卵子凍結に係る費用への助成』、凍結卵子を使用して妊娠する場合は『凍結卵子を使用した生殖補助への助成』が利用できます。

卵子凍結は保険が適用されない自費診療となるため、上記のような制度を利用して費用負担を抑えることが大切です。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、卵子凍結や胚移植、顕微授精などさまざまな治療に対応しています。

卵子凍結の補助金に関して分からない点や悩んでいることがある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

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