子宮のトラブル②

子宮筋腫

 子宮筋腫は子宮にできる良性のコブです。なぜできるのかははっきり分かっていませんが、エストロゲンの影響で子宮の中にある核が育ってできると考えられています。

  • ・筋層の外側にできたものを「漿膜化(しょうまくか)筋腫」
  • ・筋層の間で大きくなるものを「筋層内筋腫」
  • ・筋層の内側にできるものを「粘膜下筋腫」

と呼びます。粘膜下筋腫は月経痛や出血量の増加を起こしやすく、子宮内膜にダメージを与え着床を妨げるなど、いちばん不妊の原因になりやすい筋腫です。

子宮内膜ポリープ

 子宮内膜ポリープは粘膜の上に細胞が増殖して、盛り上がってできるいぼのような良性の腫瘍です。子宮にできるものには子宮内膜ポリープのほか、子宮頸管ポリープがあります。1cm未満の小さいものが多く、自覚症状はありませんが、できる位置などによっては、受精卵の着床を妨げることもあると考えられています。ポリープの治療は薬ではなく、子宮鏡で見ながら切り取ります。

 これらの症状が妊娠に影響すると考えられるケースは手術を行います。筋腫が大きい場合、手術中の出血が増えるリスクがあるので、エストロゲンの分泌を抑える薬を使い一時的に筋腫を縮小させ、手術をしやすくする方法がとられていることがあります。妊娠を希望する場合は、子宮を温存して筋腫だけを取り除く筋腫核出術という手術を行います。目安として筋腫の直径が5~6cmある場合は手術の対象で、それ以下では経過観察になる場合が多いのですが、筋腫の数やできている場所によっても異なります。現在は開腹手術ではなく、腹腔鏡下ないしは膣から子宮の中に子宮鏡を入れて行う方法が増えてきています。

子宮の奇形が不妊の原因になる場合

 子宮は、母親のおなかの中にいるときに、ミュラー管と呼ばれる臓器が左右からくっつき合ってできますが、なんらかの原因でうまく融合しないときに奇形が起こります。奇形があっても必ずしも不妊になるとは限りませんが、形によっては着床障害を起こしたり、子宮腔が狭いため、不育症や流産を繰り返すこともあります。手術で形を整えることが妊娠の可能性を高めると考えられるときは、腹腔鏡や子宮鏡で形成術を行います。

子宮内膜は毎月、ホルモンの変化によって厚くなり、妊娠に至らないと剥がれ落ちることを繰り返しています。子宮に起こるトラブルはこの月経異常からある程度予測できます。

院長 保坂 猛

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