新型コロナウイルスワクチンQ&A

これから妊活・妊娠をお考えの方へ。

当クリニックにおいて、新型コロナウィルスワクチンを接種することへご不安をお持ちの方が数多くいらっしゃいます。

現在、厚労省および関連学会においては、日本で承認されている新型コロナワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告は無く、妊娠中の時期を問わず接種を推奨している現状です。

つきましては、より安心いただけるよう関連情報やご相談内容(Q&A)をわかりやすくご紹介いたしますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

  ワクチンで不妊になることはありますか?これから妊娠を考えているのですが、 mRNA ワクチン(以下ワクチン)を接種しても⼤丈夫でしょうか?

新型コロナウイルスワクチン(mRNA ワクチン)  で不妊になるという科学的な根拠は 全くありません。

解説:
既存のワクチンでも、接種によって不妊となった例はありません。
ワクチンをラットに接種した実験では、接種したワクチンはほとんど卵巣には到達しません(全体の 0.095%以下)。
接種したワクチンの多くは接種した局所に留まり、接種部位外では肝臓に多く集まりました(接種した量の約 18%)。
ラットに ワクチンを接種した後に交配し、妊娠させた実験でも、ワクチン接種群と⾮接種群で妊娠率、⾚ちゃんの数に差はありませんでした。
また、ヒトでもワクチンの臨床試験中に妊娠した⽅や、着床前にワクチンを接種して問題なく妊娠が継続した⽅もいらっしゃいます。

  妊娠中の⼥性は ワクチンを接種しても⼤丈夫でしょうか? 流産することはありますか?

妊娠中の⼥性でもワクチンを接種して⼤丈夫です。
すでに多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの⾚ちゃん双⽅を守るとされています。
また、お⺟さんや⾚ちゃんに流産などの何らかの重篤な合併症が発⽣したとする報告もありません。

解説 :
妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に後期の感染ではわずかですが重症化しやすいとされています。
⼀般に、このワクチンを接種することのメリットが、デメリットを上回ると考えられていますので、特に感染の多い地域や感染のリスクの⾼い医療従事者等や、糖尿病、⾼⾎圧、気管⽀喘息などの基礎疾患を合併している⽅は、ぜひ接種をご検討ください。
アメリカでワクチン接種を受けた 35,691 ⼈の妊婦さんについての調査によると、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない⼥性と同程度でした。
また、ワクチンを接種した後に妊娠を完了した 827⼈のデータによると、流産、早産、胎児の発育遅延、先天奇形、新⽣児死亡が起きる確率は、ワクチンを接種していない妊婦さんと変わりませんでした。
イギリスからもワクチンを接種した妊婦さんと接種していない妊婦さんの流産率は変わらないとの報告があります。

  不妊治療中ですがワクチンを接種できますか?

不妊治療中の⽅も、接種できます。接種後は発熱などの副反応があることがありますので、可能であれば妊娠前の接種をご検討ください。

  妊娠のいつの時期に接種した⽅がいいのでしょうか?

いつの時期でも接種可能です。
⼼配な⽅は器官形成期(妊娠 12 週まで)を避けることをお勧めしていますが、現時点で明らかなワクチンによる催奇形性(胎児に奇形が起きること)の報告はありません。
また、地域の流⾏状況にもよりますので、別途ご相談ください。

  妊娠中にワクチンを接種して、熱が出たらどうしたらいいですか?

アセトアミノフェン(カロナール®など)は服⽤して構いません。
その他の解熱鎮痛剤は妊娠中に服⽤を避けたほうがいいものもありますので、別途ご相談ください。

  出産等でワクチンの接種間隔が延びてしまいそうです。⼤丈夫でしょうか?

接種間隔が延びても問題ありません。
標準の接種間隔を超えた場合の効果は⼗分に検証されていませんが、⼀部の諸外国やWHOの見解によれば、接種間隔が延びてしまった場合でも、1 回⽬から 6 週間以内に 2 回⽬の接種をすることを⽬安として⽰しています。

解説:
新型コロナウイルスワクチンは 3 週間(ファイザー社)もしくは 4 週間(モデルナ社)の間隔を開けて 2 回接種することになっています。
しかし、出産などで、接種間隔が⽌むを得ずあいてしまうこともあります。
接種が可能になりましたら、なるべく早く 2 回⽬の接種を受けてください。
なお、標準の接種間隔を超えた場合の効果は⼗分に検証されていませんが、WHO、⽶国や EU の⼀部の国では、接種間隔が延びてしまった場合でも、1 回⽬から 6 週間以内に 2 回⽬の接種をすることを⽬安として⽰しています。

  妊娠⾼⾎圧症候群、妊娠糖尿病などの合併症がある場合でも、接種しても⼤丈夫でしょうか?

患者さんにより合併症の状況が異なりますので、事前に産婦⼈科の主治医にご相談ください。
⼀般的に、合併症があると、新型コロナウィルス感染症が重症化するリスクが⾼くなります。
したがって、可能であれば接種することをご検討ください。

  妊娠中にワクチンを接種すると⾚ちゃんに免疫が移⾏しますか?

抗体が胎盤を通って、⾚ちゃんに移⾏するので、産後に⾚ちゃんを感染から守る効果が期待できます。

  授乳中の⼥性はワクチンを接種できますか?ワクチンを接種したらミルク(⼈⼯乳)に変更した⽅がよいですか?⺟乳から⾚ちゃんに免疫が移⾏しますか?

接種できます。
ワクチンを接種したことを理由にミルク(⼈⼯乳)に変更する必要はありません。
ワクチンは⺟乳中に分泌されませんが、抗体が⺟乳中に分泌されるので、⾚ちゃんを感染から守る効果が期待できます。

解説 :
84 ⼈の授乳中のお⺟さんのワクチン接種後の⺟乳を調べた研究では、1 回⽬の接種の 2 週間後には 61.8%、2 回⽬の接種の 1 週間後では 86.1%の⺟乳中に抗体が検出されました。

  ワクチンが⼥性の健康に⻑期的な影響を与える可能性はありますか?

投与されたワクチンは短期間に分解され、接種されたヒトの遺伝⼦に⼊ることはないので、⻑期的な影響はないと考えられています。

  ⽣理中にワクチンを接種してもいいでしょうか?

問題ありません。
⽣理痛に対し、痛み⽌めの薬を飲んでいる⽅は、ワクチンの接種後の痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤を飲む場合には同じような内容の薬を飲むことになりますので、薬の量が過剰にならないように気をつけてください。

  ワクチンで⽉経不順や経⾎量が増えることはありますか?

ワクチンが直接的に⽉経(⽣理)に影響を与えることはありません。
副反応のストレスや、発熱などがあった場合、その影響で⽉経がずれたり、量が変化したりすることがあるかもしれません。

  経⼝避妊薬を飲んでいてもワクチンを打つことができますか?

ワクチンを打つことができます。
ワクチンにより⾎栓ができるとの報告はありません。
⼼配な場合には別途ご相談ください。

  ワクチン接種者に近寄ると感染すると聞きました。これは本当ですか?

本当ではありません。
ワクチンにはウイルスのメッセンジャーRNA(mRNA)の⼀部のみが含まれていますので、感染⼒のあるウイルスが接種者から放出されることはありません。

  ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃すると聞きました。 これは本当ですか?

本当ではありません。
ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃することはありません。

解説 :
ファイザー社の元社員が、「胎盤を形成するシンシチン-1 という蛋⽩とスパイク蛋⽩が似ているため、スパイク蛋⽩の抗体がシンシチン-1 も攻撃する」と主張しました。
しかし、スパイク蛋⽩の抗体が反応する部分のアミノ酸の配列とシンシチン-1 のアミノ酸配列は似ているところが少ないことがわかりました。
また、実際にそのような反応が起きた ことは確認されていません。

 

⽇本産婦⼈科感染症学会より出典(令和 3 年 7 ⽉ 19 ⽇発表分)

 

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