ピルとの飲み合わせ!薬やサプリメントは併用できる?できない?注意すべき食事も紹介
ピルを飲むと決まってから、常備薬やサプリメントを飲んでいいのか不安になるかもしれません。
いつも飲んでいた便秘薬は飲んでも大丈夫なのか、新しく取り入れようとしたサプリメントはピルの効果に影響するのかなど、飲み合わせができるのかを考えてしまうものです。
併用できる薬、併用してはいけない薬をきちんと把握して、ピル服用の妨げにならないよう知っておきましょう。
この記事では、ピルと薬やサプリメントの飲み合わせについてや、服用時の食べ物と飲み物、栄養素の相性なども解説していきます。
ピルとはどういう薬か
ピルというのは、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンを含み、避妊を始め生理に関する悩みの改善、月経困難症などの治療、子宮内膜症などの病気の治療や軽減などに効果がある薬です。
正しく服用すればホルモンバランスを安定させて、女性特有の体調不良を整えることもできます。
1~3ヵ月ほどはマイナートラブルと呼ばれる副作用もありますが、からだが慣れれば治まる症状なので心配はいりません。
わずかですが血栓症のリスクがあるため、病院で検査を受けて医師の診断のもとで処方されます。
飲み合わせに注意すべき薬
ピルは毎日飲むことで体内の女性ホルモンを一定に保つ薬であるため、副作用以外の体調不良のときは他の薬が必要となる場合もあります。
その際、同時に体に成分が入るとピルや薬の効果に影響を与えてしまう飲み合わせがあり、注意しなければなりません。
ここでは具体的な薬や成分と、どのような影響が考えられるかを解説します。
併用禁忌の薬
C型肝炎の治療薬である『ヴィキラックス配合錠』は、ピルとの飲み合わせが禁止されています。
服用中はもちろん、服用の終了後も2週間はピルの服用ができません。
もしピルと一緒に服用してしまうと肝機能の悪化リスクが高まるため、併用禁忌とされています。
C型肝炎の治療中にピルを検討している、またはピルの服用中にC型肝炎の治療が始まる場合は、必ず医師に相談してください。
併用するとピルの効果が強まる薬
ピルと薬の併用でピルの効果が高まると、副作用のリスクも高まってしまう可能性があります。
- 解熱鎮痛剤:アセトアミノフェン
- 抗真菌薬:フロコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール
アセトアミノフェンは、解熱鎮痛剤として市販の風邪薬や頭痛薬にも含まれるため、注意しましょう。
抗真菌薬は、菌による症状がある病気に対して使用する薬で、こちらもピルとの併用は注意してください。
また、胃潰瘍の薬を長期的に服用している場合、ピルの副作用である吐き気や頭痛などのマイナートラブルが強く現れる可能性があります。
併用するとピルの効果が弱まる薬
上記とは逆にピルの効果が弱まってしまう薬もあり、この場合は避妊や治療の効果も弱まってしまいます。
- 結核の治療薬:リファンピシン、リファブチンなど
- てんかんの治療薬:ヒダントイン系、バルビツール酸系など
- 精神刺激薬:モダフィニルなど
- 抗真菌薬:グリセオフルビンなど
- ペニシリン系、テトラサイクリン系抗生物質:リファンピシンなど
- 睡眠薬、鎮痛薬:バルビタール系やプリミドンなど
- HIV感染症治療薬:リトナビル、エファビレンツなど
- 肺高血圧症治療薬:ボセンタンなど
これらの薬はピルが体内に吸収されにくくなったり、薬と一緒にピルの成分も分解されて血中濃度が下がったりして効果が弱まります。
病気の治療として薬を服用している、またはピルの服用中に治療が開始されるなどの場合は、医師と相談して薬の変更やピルの中止を検討してください。
また、便秘薬など下剤が含まれる薬は併用できますが、下痢になるとピルの成分が吸収しきれず排出されてしまう可能性があるため、ピルと薬の服用時間を4時間以上空けるなどの注意が必要です。。
併用すると薬の効果が強まる薬
ピルと併用すると薬が効きすぎてしまい、副作用があらわれてしまう可能性が高くなる薬もあります。
- 三環系うつ剤:トフラニール、イミドール、イミプラミンなど
- ステロイド(内服薬)など副腎皮質ホルモン薬
- ぜんそく治療薬:テオフィリンなど気管支拡張剤
- パーキンソン病治療薬:セレギリン塩酸塩など
- 免疫抑制剤:シクロスポリンなど
- 胃酸分泌抑制の薬:オメプラゾールなど
これらの薬とピルを併用すると、ピルが薬の代謝を抑制することで効果が強まりすぎて、副作用も強く現れてしまう場合があります。
病院で処方される薬の場合、医師にピルの服用をしていると必ず伝えましょう。
また、ここで言うステロイドとは内服薬のことで塗り薬は含まれませんが、花粉症の薬や点鼻薬にも配合されている場合があるため、成分をよく確認してください。
併用すると薬の効果が弱まる薬
ピルとの併用で効果が弱まる薬もあり、病気治療の妨げになる可能性があります。
- 糖尿病の治療薬:インスリン製剤、血糖降下剤など
- 解熱鎮痛剤:アセトアミノフェン
- 血圧降下剤:イスメリン錠など
- モルヒネ
- 子宮内膜症の治療薬:酢酸ブセレリン、G、n‐RH誘導体製剤など
薬の効果が弱まると病気の治療が進まなかったり期待した効果が得られなかったりなどの妨げになる場合もあるため、病院で医師にピルを飲んでいると伝えて相談してください。
併用できる薬
ドラッグストアなどで市販されているほとんどの風邪薬や漢方薬は併用できますが、前述までの成分が含まれていないか注意してください。
特にアセトアミノフェンが含まれている薬は避け、他の成分が配合されているものを選び、心配な場合は医師や薬剤師に相談し、併用していいかを確認しましょう。
飲み合わせしてはいけないサプリメント
ほとんどのサプリメントは併用可能ですが、注意すべき成分もあります。
セントジョーンズワート
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は併用注意です。
精神安定効果や更年期症状、うつ症状などの改善に期待できるハーブの一種で、サプリメントの成分やハーブティーなどにも含まれています。
セントジョーンズワートにはピルの効果を弱めてしまう可能性があるため、サプリメントの成分表示を確認してください。
イソフラボン
イソフラボンは植物性エストロゲンと呼ばれていて、ピルに含まれる女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをします。
エストロゲンの血中濃度を高める作用もあり、ピルと同時に飲むことで影響を及ぼす可能性があります。
大豆などの食品からの摂取は問題ありませんが、サプリメントには成分が凝縮して含まれている場合があるため、併用には注意が必要です。
チェストベリー・チェストツリー
女性の健康サポートができるとされるハーブの一種です。
ピルと併用すると、ピルの効果が弱まってしまう可能性があります。
PMSなどに効果があるとされるサプリメントですが、ピルの効果でPMSの軽減があるため、併用する必要はないでしょう。
バストアップサプリ
プエラリアやピンキープラスなどのバストアップサプリは、ピルとの併用に注意してください。
プエラリアの主成分に含まれるエストロゲンのような成分は、イソフラボンの1000倍の活性力があるとされていて、生理作用に関して国民生活センターからの注意喚起があります。
ピンキープラスは主成分にイソフラボンを含み、女性ホルモンのエストロゲンと同様の効果があり、ピルとの併用で効果が重複してしまうため、併用は避けてください。
ビタミンC
ビタミンCはピルの効果を強めてしまい、血栓症のリスクが高まる恐れがあります。
サプリメントでも高濃度や過剰摂取でなければ問題ないため、成人の一日の摂取量目安約100mlを越えないように注意してください。
注意すべき食べ物・飲み物
ピルの服用中、直接ではなくても効果に影響する可能性がある食べ物や飲み物があります。
グレープフルーツ
柑橘類はピルの効果を強めてしまう可能性があり、特にグレープフルーツは注意が必要です。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン酸という成分にはピルの血中濃度を増加させてしまい、ピルの副作用が強く現れやすくなります。
果肉やジュース、マーマレードなど、グレープフルーツを含むものは避けましょう。
柑橘類全てが飲み合わせできないわけではなく、レモンや温州みかん、かぼすは一般的な量なら問題ありません。
アルコール
アルコールはピルと同じく肝臓で分解されますが、同時に飲むとアルコールの分解が優先されてしまいピルの分解が遅れてしまいます。
ピルの血中濃度が高まり、作用が強く出てしまい副作用があらわれやすくなる可能性があります。
また、飲酒による嘔吐や下痢があるとピルの成分が吸収されず効果が弱まってしまうため、ピルの服用と飲酒は3時間以上空けて、適度な量にとどめましょう。
炭酸・カフェイン
炭酸飲料は炭酸の気泡がピルの吸収に影響を及ぼす可能性があります。
また、コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物は、ピルの分解や体内への吸収を妨げて効果を弱めてしまいます。
ピルと同時に飲むのは避けることに加え、炭酸飲料やカフェイン飲料でピルを飲むのは副作用のリスクが高まるため、注意してください。
ビタミンB
ピルを服用していると、ビタミンBの中でも特にビタミンB6が不足しがちです。
ピルの作用としてビタミンB群の吸収を妨げてしまうため、通常よりもビタミンB群を使用してしまい、その結果必要な量が不足してしまいます。
ビタミンBには脂質をエネルギーに変える、血液を作るなどの重要な働きがあり、不足するとイライラしたり疲れやすくなったり、口内炎、貧血、皮膚炎などのさまざまな症状が出る可能性があるため不足には注意が必要です。
食品ではマグロやかつお、さんま、バナナなどにビタミンB6が含まれています。
サプリメントでとる場合は、他に避けた方がいい成分が含まれていないか確認してください。
まとめ
ピルと薬を併用するには、しっかりと成分を確認する必要があります。
避妊効果が弱まったり、副作用のリスクが高まったりと、ピルの効果が変わってしまう場合と、薬の効果が変わってしまう場合とがあり、正しい効果が得られないと予想外の症状が出てしまうかもしれません。
ピルを服用するときは医師の診断が必要となりますが、説明を受ける際に併用禁忌の薬や食べ物を確認し、安全なピル服用ができるよう相談しましょう。
三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、女性のライフパートナーとして日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本生殖医学会認定 生殖医療専門医をはじめとする資格を持つ院長を中心とし、スタッフと共に一人ひとりの患者様に向き合う婦人科を目指しております。
安全なピル処方ができるように事前に血液検査や子宮頸がん検査を行います。
ピルと薬の併用について疑問をお持ちの方は、三軒茶屋ウィメンズクリニックへお気軽にご相談ください。
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