生理前の情緒不安定の原因は?3つのセルフケアと婦人科受診の重要性

落ち込んだ様子の女性の画像

生理の影響で、「イライラする」「涙が止まらなくなる」といった経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?

普段は平常心で過ごせるのに、生理前になると感情が抑えられなくなったり、理由もなく不安に駆られたりすることがあります。

これは気のせいではなく、多くの女性が共通して経験する現象です。この記事では、生理前に情緒不安定になる原因と対策、婦人科受診の重要性について解説します。

生理前の情緒不安定の原因

草原で細い道の上を歩く女性の画像

生理前になると、心や体に変化を感じることは多くの女性が経験します。

生理前に、日常生活に支障をきたすほど重い症状が出る状態の総称をPMS(月経前症候群)と呼び、PMSの中でも、特に精神的な症状が強く表れる状態のことをPMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。

ここでは、PMSとPMDDの原因について解説します。

ホルモンバランスの変化

PMSとPMDDの原因は生理周期に伴うホルモンバランスの変動に対して敏感に反応し、心身に強い症状が現れると考えられていますが明確に解明はされていません。

排卵前にエストロゲンが急激に増加し、排卵後はプロゲステロンが増加、そして生理開始直前にこれらのホルモンは急速に減少します。

この大きなホルモンの変動が、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスに影響を及ぼし、気分の変動や情緒不安定を引き起こす要因となるのです。

また、ホルモンバランスの変化は自律神経系にも影響を与え、体温調節の乱れや睡眠の質の低下を引き起こすことがあります。

睡眠不足は、さらに情緒不安定を悪化させる要因となるかもしれません。

これらの複合的な変化が、倦怠感や集中力の低下などの症状を引き起こすことになります。

その他の原因

PMSとPMDDの原因として、ホルモンバランスの変化以外の影響でセロトニン濃度が下がっている可能性があります。具体的な原因は次のような症状です。

  • 栄養不足
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 遺伝的要因

ビタミンB6やトリプトファンなど、セロトニンを作る過程で必要な栄養素が不足していたり、運動不足や睡眠不足などの身体的ストレス、心的ストレスがあったりするとセロトニン濃度が下がる傾向にあります。

ストレスを感じると、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌され、セロトニンの生成が抑制されます。

また、セロトニンの前駆体であるトリプトファンの消費が増加することもセロトニン濃度の低下につながるでしょう。

そのため、ストレスがセロトニンに与える影響を理解し、適切なケアをすることが大切です。

PMSとPMDDの共通症状と違い

ノートと鉛筆を持って悩む女性の画像

PMSとPMDDは、どちらも生理に伴う心身のバランスが崩れ、日常生活に支障をきたしている症状ですが、症状の重さや時期などに違いがあります。

PMSとPMDDの症状と違いについて解説します。

PMS・PMDDの共通症状

PMSとPMDDに共通する精神的症状をいくつかご紹介します。

  • イライラ
  • 不安感
  • 涙が止まらない
  • 感情の起伏が激しくなる
  • 無気力
  • 集中力の低下

次にPMSとPMDDに共通する身体的症状をご紹介します。

  • 胸や腹部の張りや痛み
  • 関節や筋肉の痛み
  • 頭痛
  • 疲労感
  • むくみ
  • 冷え
  • 便秘 など

PMS・PMDDには、このような精神的症状や身体的症状が軽いものから重いものまで150種類以上あるといわれており、人によって現れる症状も大きく違いがあります。

PMS・PMDDの症状の違い

PMDDはPMSの中で特に精神的症状が重い状態を指す精神疾患です。

PMDDは、抑うつ症候群の一つであり、仕事や家事ができないなど、日常生活に支障をきたしてしまうほど重い症状が特徴です。

PMSはセルフケアやライフスタイルの見直しによって改善・緩和される可能性もありますが、PMDDは医療機関での治療が必要となることが多くあります。

PMSとPMDDの治療法には、生活習慣の改善や栄養補給、ストレス管理、ホルモン治療、薬物療法などがあります。

特にPMDDの場合、抗うつ剤やホルモン療法が効果的です。

このように、PMDDはPMSよりも重篤な状態であり、専門的な診断と治療が必要なため、症状が重いと感じる場合は自己判断をせず、婦人科で相談をするようにしましょう。

日常生活でできるセルフケア

森の中でストレッチする女性の画像

生理に伴う、情緒不安定を改善・緩和するために有効的な手段の1つは、セロトニン濃度を上げることです。

慢性的なストレスは、セロトニン産生を抑制する可能性があるため、セロトニン濃度を上げるためには、心身のストレスを緩和することが大切です。

ここでは日常生活でできる心身のセルフケアについてご紹介します。

健康的なライフスタイル

生理に伴う情緒不安定を緩和するために、規則正しい健康的なライフスタイルを送り、身体的ストレスを緩和しましょう。

規則正しい睡眠習慣や軽いウォーキング、ヨガ、ストレッチなどの適度な運動はストレス緩和に効果的です。

運動をすると脳内でエンドルフィンという気分を高揚させ、痛みを和らげる効果のある物質が分泌され、同時にセロトニンの合成も促進されます。

また、日光を浴びることもセロトニン分泌を促進します。1日10〜30分程度、午前10時ごろまでの日光を浴びることが理想的です。

食事から必要な栄養を摂取

セロトニンを生成するために必要な栄養素を、食事から摂取することを心がけましょう。特にトリプトファン、ビタミンB6、マグネシウム、オメガ3脂肪酸に注目しましょう。

これらの栄養素が多く含まれるのは、次のような食品です。

栄養素多く含む食品
トリプトファン鶏肉・豆腐・牛乳・バナナ
ビタミンB6魚類・レバー・玄米・ナッツ類
マグネシウムホウレン草・アーモンド・アボカド
オメガ3脂肪酸サーモン・サバ・亜麻仁油

トリプトファンはセロトニンの前駆体であり、ビタミンB6は、セロトニンの合成を助け、PMSの症状を軽減する効果があります。

また、マグネシウムはストレスや不安を軽減する効果があり、オメガ3脂肪酸は抗酸化作用によって気分の変動を抑える効果があります。

さらに、水分摂取も重要です。適切な水分補給は、むくみの軽減や体調管理に役立ちます。

反対に、カフェインやアルコール、糖分の多い食品はセロトニン濃度を下げてしまうため、過度な摂取は控えるように気を付けましょう。

メンタルヘルスのケア

生理に伴う情緒不安定を緩和するためには、心のケアを取り入れましょう。心をリラックスさせるとストレスを軽減し、セロトニンの生成と分泌を促進する助けとなります。

リラックス方法には、瞑想や深呼吸、アロマテラピーなどが効果的です。ほかにも、音楽鑑賞や映画鑑賞、読書などの趣味活動もリラックス効果があります。

自分に合うリラックス方法を見つけてみてください。

婦人科受診の重要性

医師からの説明を受ける患者さんの画像

生理に伴う情緒不安定の症状が重く、辛い場合、無理をせずに薬に頼ることも大切です。まずは婦人科の専門医に相談しましょう。

ここでは婦人科受診の必要性と治療について説明します。

正確な診断と適切な治療

婦人科受診によって、生理に伴う情緒不安定の原因がPMSなのか、より深刻なPMDDなのかを正確に診断し治療を受けることができます。

PMSとPMDDは症状が似ているため、自己判断では症状の正確な判断が難しい場合があります。

2つの症状は似ていますが治療法は異なるため、婦人科を受診することで自分に合った治療法を受け、症状を改善ができます。

症状の客観的評価

婦人科医に相談すると、自分の抱えている症状を見て、客観的に重症度を判断してもらえます。

自分では気づいていない症状や見逃していたサインも、問診や検査を通じて見つけることもあるでしょう。

症状の背景にある原因を明らかにし、患者さん一人ひとりにあった治療を行うことで症状が軽減や改善し、日常生活の質を向上させることができます。

ホルモン療法や薬物療法の検討

情緒不安定の症状が重度で日常生活に支障をきたしている場合、婦人科を受診することで、ホルモン療法や薬物療法が可能になります。

低用量ピルにはホルモンバランスを整える効果があり、PMSやPMDDの症状を緩和できます。

また、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法が症状に応じて提供されます。

このようなホルモン治療や薬物療法は、医師の診断の元に行われるため、安全で効果的に治療をすることが可能です。

生活習慣の改善アドバイス

婦人科を受診することで、食事や運動、ストレス管理について具体的な改善策のアドバイスが受けられます。

これらの生活習慣の改善は、ホルモンバランスを整え、情緒の不安定の症状を緩和する効果が期待できるため、自分に必要な改善策を取り入れましょう。

他の疾患の除外

生理に伴う情緒不安定の原因にほかの健康問題が潜んでいないか、受診によって確認することも重要です。

甲状腺疾患やうつ病などの他の病気が原因である可能性を排除することができます。

また、PMDDは、経過を経てうつ病やパニック障害、不安障害へ変化することがあるため、婦人科受診によって根本的な原因を明らかにし、最適な治療を受けましょう。

まとめ

生理前の情緒不安定の原因は、主にホルモンバランスの変化によるものですが、ほかの病気が原因の可能性もあります。

日常生活では、健康的なライフスタイル、バランスの取れた食事、メンタルヘルスケアなどのセルフケアが効果的です。

しかし、症状が重い場合やセルフケアだけでは改善が見られない場合、婦人科受診をしましょう。

専門医による正確な診断と適切な治療、客観的な症状評価、必要に応じたホルモン療法や薬物療法の検討、生活習慣改善のアドバイス、他の疾患の除外などの総合的なケアを受けることができます。

生理前の情緒不安定にお悩みの方は、オーダーメイドの治療を提供する『三軒茶屋ウィメンズクリニック』にご相談ください。

土曜日診療や、個室診察による患者様のプライバシー保護の徹底をしております。

生理前は情緒不安定かもしれないとお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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