産後の生理はいつから来るの?母乳育児との関係を徹底解説!
出産後、赤ちゃんとの生活は楽しく幸せで、忙しく過ぎていき、ふと気付くと数か月の記憶がないということもあります。
気持ちの余裕ができる頃には、生理がないことに慣れてきているのではないでしょうか。
いつ生理が再開するのか、妊娠前と変化があるのか、再開前に気になることばかりです。
今回は、産後の生理と母乳育児について、解説していきます。
産後の生理がすぐ来ないのはなぜか
妊娠とは、受精卵が子宮内膜に着床し、胎盤が作られおなかの中で赤ちゃんが成長することです。
出産とともに胎盤が体外に排出されても、女性のからだはすぐに元には戻るわけではなく、時間がかかります。
そのため、産後すぐに生理が来ることはほぼありません。
再開の時期は、産後1ヵ月の人もいれば、1年以上の人もいて、個人差によります。
産後すぐは、赤ちゃんが頻繁に母乳を飲んでいる時期と重なり、赤ちゃんにおっぱいを吸われると、からだの中でプロラクチンというホルモンが多く分泌されます。
プロラクチンには排卵を抑制する作用があるため、排卵がおこりにくいのです。
1日に5回以上の授乳をしていたり、1回の授乳が10分以上かかるなどの場合、プロラクチンの分泌も多くなり、生理が再開しづらい状態ということになります。
生理が再開するめやす
母乳育児中でもプロラクチンの量は少しずつ減少し、からだは排卵の準備を始めます。
赤ちゃんの成長とともに授乳回数や授乳にかかる時間も減ることや、ホルモン分泌が盛んな夜間の授乳が減るとプロラクチンの分泌量にも影響し、排卵がおこりやすくなります。
離乳食が始まったり卒乳をしたりすることも、授乳の回数が減るきっかけになり、卒乳の場合1~3ヵ月で生理が再開する傾向が多いです。
こうして排卵の準備が整うと、生理が始まるということです。
出産後半年から1年くらいでからだが準備を整え終わり、排卵が始まることによって生理が再開する人が多いでしょう。
無排卵で生理が再開することもあり、『無排卵性月経』と呼ばれます。この場合は排卵がないため妊娠の可能性はありません。
一方、生理がないのに排卵はしていることもあり、産後一度も生理が来ないまま次の妊娠をする人もいますが、基礎体温を付けることにより排卵の有無は確認しやすくなるため、生理がいつ来るか、排卵はしているのかを知るめやすになります。
産後の生理はどう変わる?
生理の再開後、以前と生理が変わったと感じる人もいます。
周期が短く(長く)なった、出血量の変化、生理痛の有無、生理痛が酷く(軽く)なったなど、人それぞれです。
妊娠と出産により、体質が変わったように思える人も少なくありません。
これらはホルモンの影響によることがほとんどなので、体質の変化については心配しすぎなくても大丈夫です。
育児優先で自分のからだをおそろかにしがちな時期ですが、産後の生理の特徴を知ることで、心とからだを健康に保ちましょう。
周期
産後しばらくの生理は、排卵が始まっていないこともあります。
生理期間ではないときに少量の出血があるかもしれませんが、排卵時の出血の可能性が高いでしょう。
排卵が安定していないため周期が乱れることも多いですが、再開後半年くらいは様子を見てください。
期間
再開してすぐの生理は、黄体ホルモンの分泌が不十分なため、長引いたり逆に短期間だったりと、出産前と同じではありません。
半年経つ頃には安定してくるため、記録を付けてみると産後の生理を把握しやすくなります。
2週間以上出血が続く場合は、子宮に関する病気の可能性も考えられるため、医師へ相談しましょう。
また、毎回の生理が1、2日程度で終わってしまう場合は、卵巣機能の低下の可能性もあるため、次の妊娠への影響も考えて早めに受診してください。
量
産後初めての生理は無排卵の場合もあり、出血が少量の傾向にあります。
少量の出血が数か月と長い期間続くようならば、基礎体温を付けて排卵の有無を確認してください。
日中に夜用のナプキンを何度も替えるくらいに量が多い場合は、病気の可能性があります。
子宮筋腫や子宮内膜症などの病気があると出血量が増えることもあるため、数回続くようなら受診しましょう。
出血量が多く貧血状態が続くようなら、鉄剤処方などの治療をすることもあります。
生理痛
生理再開後に、生理痛の有無が変わる人もいます。
酷かった生理痛が軽くなったならいいのですが、全くなかったのが産後あまりにも酷い生理痛に悩まされる場合は、子宮筋腫や子宮内膜症の発症も考えられるため、気になるときは医師へ相談してください。
また、授乳中だと生理痛のとき鎮痛剤を飲んでもいいのか迷うかもしれませんが、カロナール(アセトアミノフェン)など、安全性が高いとされている薬もあります。
授乳直後に飲めば、次回授乳での母乳への影響はほぼないですが、飲んでいい薬、飲むタイミングなどを医師や薬剤師に確認しましょう。
授乳中の生理
生理が再開して授乳を続けていると、『母乳の味は変わっている?』や、『母乳の出は悪くなる?』など、赤ちゃんへの影響が気になる人もいるでしょう。
ここではそんな疑問を解消していきます。
母乳への影響
生理が母乳に与える影響は、実ははっきりと解明されていません。
味が変わるのか、薄くなったり匂いが変わったりするのかなど、医学的に証明されていないのが現状です。
食事や体調が母乳の味に影響するというのは、さまざまな説が唱えられているため、生理が影響するのかについても、結論は出ていません。
体験談として、生理中は母乳をあまり飲んでくれないなどの話もありますが、味の問題なのか、生理中の母親の匂いに敏感に反応してなのかは、赤ちゃんの個性なのかもしれません。
また、生理中は母乳の出が悪くなるという傾向もあります。
しかし、生理が再開しても、いきなり母乳が出なくなることはないので、母乳育児ができなくなることはないでしょう。
母乳量の変化は多少見られるため、乳腺炎にならないようマッサージはしておくのをおすすめします。
生理期間が終わると、いつも通りに授乳できることがほとんどです。
気にしすぎてストレスを感じてしまうと、それ自体が母乳の出に影響が出てしまう可能性もあるため、ストレスをためないようにしましょう。
生理が再開し、赤ちゃんの様子を見て生理期間と関係しているのではと不安になるようでしたら、安心を得るためにも一度病院へ相談してみてください。
授乳中の生理で気を付けたいこと
授乳期間中の生理で気を付けたい点と、女性のデリケートなからだをいたわる対処法を紹介します。
食生活に気を付ける
母乳は血液からできているため、授乳期間中同時に生理になると、貧血になりやすい状態です。
授乳期間を通して貧血は予防した方が良いですが、特に生理と重なる期間は鉄分を多めに摂取できる食事を心がけてください。
また、高脂質など脂っぽい食事をすると、母乳がつまってしまうなどトラブルの原因になることもあります。
鉄分摂取と合わせ、栄養を考えた食生活をしましょう。
からだをあたためる
生理中はからだが冷えやすく、血行が悪くなってしまいます。
からだが冷えすぎると母乳の出も悪くなってしまうため、からだをあたためる工夫をしましょう。
冷たい飲み物よりは、あたたかい飲み物を飲むと、からだの中からあたたまります。
ゆっくり入浴するのもいいですが、胸が張るようなら半身浴や足湯などもいいでしょう。
冷房の中に無防備にいると冷えてしまうため、腹巻や足首ウォーマーなどを使用して冷えすぎないよう気を付けてください。
母乳マッサージ
生理中に母乳の出が悪い、赤ちゃんが飲んでくれないなどの理由で、母乳が残ってしまっていることもあります。
母乳マッサージをして、乳腺炎などのトラブルを予防し、授乳期間を快適に過ごせるよう工夫してください。
再開しないときどうする?
産後の授乳期間中に生理が来たときは、前述のように変化に注意し、対応できます。
生理が来ないとき、心配で不安になってしまうかもしれません。
ここでは、産後の生理が再開しないときの対処法を紹介します。
生活リズムを整える
不規則な生活は自律神経の乱れに繋がり、生理不順になりやすいため、生活リズムを整えましょう。
睡眠不足や食生活の偏りは、自律神経を乱れさせます。
夜中の授乳やお世話で睡眠不足の場合は、昼に赤ちゃんと一緒に昼寝するなどで睡眠時間を確保しましょう。
食事内容に気を付け、できるだけ同じ時間に食事ができるように気を付けて、生活リズムが崩れないよう心がけてください。
適度な運動をする
1ヵ月検診後に医師から問題ないと診断され、体力が回復してきたら、適度な運動をしましょう。
運動をすることでホルモンバランスが整い、生理不順の解消に繋がります。
赤ちゃんと一緒に近所を散歩したり、産褥体操をしたり、無理のない範囲でからだを動かしてください。
家の中でできるヨガやストレッチなど、自分に合った方法を見つけましょう。
ストレスをためない
産後はストレスをためやすい時期でもあります。
夜中の授乳で眠れない、思うように動けないなど、知らず知らずのうちにストレスをためていってしまうかもしれません。
ストレスは、生理の再開が遅れることにもつながるため、リラックスできる時間を作れるようにしましょう。
短時間でも1人で出かけたり、ゆっくり入浴したり、方法は人それぞれです。
赤ちゃんの顔をながめるのが1番リラックスできるならば、家事はそこそこにして、1日中赤ちゃんとべったりの時間を作ってみるのもいいでしょう。
受診のめやす
産後の生理が再開しないとき、病院へ行くべきか不安になりますが、心配しすぎないようにしましょう。
ホルモンバランスの崩れだったり、子宮の回復が不十分だったり、病気の可能性もあるため、以下の心当たりがあったら受診する目安にしてください。
- 卒乳・断乳してから3か月以上
- 産後から1年半以上経過して、授乳の回数や間隔が開いている
- 1度生理が再開したが、また止まってしまった
これらの場合、次の妊娠に影響することもあるため、早めに受診して原因を探り、必要ならば治療しましょう。
まとめ
産後いつから生理が再開するかは、個人差があります。
ホルモンバランスや生活リズム、からだの回復状態など、人によってさまざまです。
1ヶ月で再開する人も、1年以上かかる人もいます。
病気などの徴候がなければ、あまり心配しすぎずに過ごしましょう。
生活リズムを整えて適度な運動をし、ストレスをためず、それでも1年半以上生理がなかったら、医師へ相談してください。
三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、おひとりおひとりに合わせた検査、治療をこころがけて、日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本生殖医学会認定 生殖医療専門医をはじめとする資格を持つ院長を中心とし、スタッフと共に安心してご相談いただける婦人科を目指しております。
産後の生理再開に不安を抱えている方は、三軒茶屋ウィメンズクリニックへお気軽にご相談ください。
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