月経で血の塊が出るのは異常?原因や受診の目安について解説

ナプキンの上に赤いハートが乗った画像

月経中の経血にはまれにドロッとした血の塊が混ざる場合がありますが、これを放置すると身体にどのような影響があるのでしょうか。

経血の量や月経の状態には個人差がありますが、つらい症状や過度な出血は我慢せずに婦人科で適切な治療を受けるのがおすすめです。

この記事では、月経時にみられる血の塊について、原因や受診の目安、妊娠への影響の有無について紹介します。

月経中の血の塊が気になる人や妊娠への影響が不安な人、月経時に体調に不具合が起きやすい人はぜひ参考にしてください。

月経中にみられる血の塊の正体は?

ナプキンの上に赤い花が乗った画像

月経時にみられるレバー状の血の塊の正体は、凝血塊やコアグラと呼ばれるものです。

通常は、月経によって子宮内膜が剥がれることによって出血した塊状の血は、タンパク質分解酵素の働きによってサラサラな経血へと変換されます。

しかし子宮内膜が厚く酵素の分泌が不足したり経血の量が多かったりすると、血液を凝固するタンパク質を分解しきれないため、月経の際にドロッとした血のかたまりがでる場合があります。

一般的に月経でみられるサラサラの経血と比較して、凝血塊はドロドロとした赤黒い塊のような見た目で、レバーのような塊の形状をしているのが特徴です。

月経中に血の塊が出る原因

お腹辺りに「はてなマーク」と「困った顔」のカードをかざす女性の画像

月経中に血の塊が出る原因には以下のものが挙げられます。

経血の量が多い

経血の量が多い過多月経は、月経中に血の塊が排出される原因のひとつです。

子宮内膜が剥がれ落ちると、タンパク質分解酵素であるプラスミンが血液凝固に作用するフィブリンを阻害することで経血をサラサラな状態にします。

これは血の塊を体外へ押し出すには子宮が強く収縮する働きが必要であるため、これによって月経痛を引き起こさないために女性の身体に備わっている仕組みです。

しかし月経時の経血量が多いと、プラスミンがフィブリンに作用しきれず、ドロッと経血のまま体外に排出されやすくなります。

血の塊が排出される現象はたまにみられる程度であれば心配ありませんが、月経のたびに凝血塊やドロッとした経血が大量に排出される場合は注意が必要です。

エストロゲンの分泌量が多い

卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌量が多いと、月経中に血の塊が排出される原因になります。

エストロゲンは子宮内膜の成長に作用するホルモンですが、分泌量が増えることで子宮内膜が厚くなると、排出までにサラサラになりきらずドロッとした状態で排出されやすくなります。

20〜30代ではエストロゲンの分泌量が多い傾向にあるため、血の塊が出ること自体は珍しくありません。

しかし頻繁に血の塊が排出される場合や経血量が多い状態が続く場合は、ほかの原因や病気のリスクが懸念されます。

身体が冷えやすい

身体が冷えやすい人は経血の排出が困難になるため、血の塊ができやすくなる傾向があります。

例えば日常的に運動不足の人や冷たい飲食物が好きな人、薄着を好む人は身体の冷えを引き起こしやすいです。

また身体が冷えることでホルモンバランスが乱れると、ますます経血に血の塊が混ざりやすくなります。

身体が冷えやすい人は、適度な運動をしたり冷たいものを口にする頻度を減らしたりするなどの工夫をして冷え対策をするようにしましょう。

なんらかの疾患がある

なんらかの疾患が原因で血の塊が排出される場合があります。

月経の際に血の塊がでることは異常ではありませんが、子宮の病気やホルモンの分泌に異常をきたす病気に罹患していることが原因である可能性があります。

ナプキンを換えるたびに血の塊がみられる場合や、大きい凝血塊が排出される場合は婦人科を受診しましょう。

月経中に血の塊が出る可能性がある病気

医師から月経中に血の塊が出る可能性がある病気ついての説明を受ける女性のイメージ画像

月経中に血の塊がみられる場合、以下の病気に罹患している可能性があります。

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮のいたるところにこぶのような筋腫ができる病気で、月経時にレバー状の血の塊が排出される場合があります。

自覚症状がないことがほとんどで死亡率も0.02%と低く、重篤な疾病ではありませんが、放置すると着床不全や流産・早産など妊娠や出産に悪影響を及ぼすリスクが懸念されます。

子宮筋腫のおもな症状は以下の通りです。

  • 経血量の増加
  • 月経が長引く
  • 月経痛
  • 不正出血
  • 頻尿

経血の量が増える過多月経や毎回の月経の期間が長くなる過長月経は、子宮筋腫の代表的な症状です。

またこれらが原因で貧血を引き起こすと、めまいや立ちくらみ、倦怠感などの症状につながります。

さらに子宮筋腫は腹部を自分で触って筋腫の存在を確認できるようになるまで大きくなる可能性があり、膀胱を圧迫することで排尿の回数が増えるケースがあります。

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜と似た組織が子宮の壁で増殖することで厚くなり、子宮が肥大化する疾患です。

子宮全体に腺筋症が拡大するびまん型と、1箇所に発生する限局型があり、30後半から40代の女性で好発します。

子宮腺筋症のおもな症状は以下の通りです。

  • 激しい月経痛
  • 月経痛以外の腹痛
  • 経血量の増加
  • 腹囲膨満
  • 排尿・排便・性交時の痛み

子宮腺筋症は、月経痛や過多月経の症状が子宮筋腫より激しいのが特徴で、症状が悪化すると足や肛門にも痛みが広がる可能性があります。

また放置すると貧血症状を引き起こすほか、不妊や流産のリスクが懸念されます。

症状が軽いうちは経過観察となる場合が多いですが、ホルモン療法を行う場合はエストロゲンの分泌を抑える治療が有効です。

子宮腺筋症が進行した場合、子宮内膜に類似した病巣が子宮全体に拡大しているケースが多いため、子宮を全摘する手術を要する可能性が高いです。

いずれの場合も、患者さんの年齢や症状の重さのほか、妊娠希望の有無などを考慮し適切な治療が選択されます。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜やそれに似た組織が本来存在するべき子宮内以外の場所に発生する疾患です。

発症しやすいのは20〜30代の女性ですが、症状のピークは30〜34歳のあいだに迎える傾向があるとされています。

子宮内膜症のおもな症状は以下の通りです。

  • 経血量の増加・凝血塊の出現
  • 月経を重ねるごとに強くなる月経痛
  • 月経時以外の下腹部や腰の痛み
  • 排便や性交時の痛み

子宮内膜はダグラス窩のほか仙骨子宮靱帯・腹膜・卵巣・卵管などの部位に巣くうことが多いですが、まれに肺や腸にできる場合もあります。

また妊娠を希望する子宮内膜症患者のうち、約3割に不妊の問題があらわれるとされていて、手術を要する場合は妊娠の希望の有無によって処置の方法が異なります。

子宮内膜症は選択した治療法とは関係なく再発の可能性が高いことに加え、チョコレート嚢胞を発症した場合は将来的に癌化するリスクがあるため、経過観察が重要です。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープは、子宮内膜に存在する細胞がなんらかの要因で異常に増殖し腫瘍に発育する病気で、発生するポリープの数やサイズはさまざまです。

ポリープの多くは良性ですが、子宮体ガンを引き起こす手前の状態である可能性も否定できません。

子宮内膜ポリープのおもな症状は以下の通りです。

  • 経血量の増加
  • 月経が長引く
  • 不正出血
  • 中間期出血
  • 閉経後の性器出血

子宮内膜ポリープを発症していても症状がないケースでは経過観察が選択される場合がありますが、症状がある場合は薬物療法や手術などの治療を選択しないと、基本的に回復は望めません。

不妊症治療中の患者さんの場合は、症状があらわれていなくてもポリープの除去を選択したほうが妊娠に有利になる可能性があります。

月経中の血の塊は妊娠に影響する?

妊娠検査薬を見つめる女性の画像

血の塊が直接妊娠に悪影響を及ぼすわけではありませんが、血の塊が排出される原因となっている要因が妊娠に影響を与えるケースは十分にあり得ます。

経血のなかに血の塊が頻繁にみられたり、月経痛が強くなったりする場合はさまざまな疾患が原因として考えられます。

とくに子宮の病気やホルモンバランスの乱れは、妊娠に不可欠な排卵に影響を及ぼすリスクが高いです。

月経中に血の塊が排出されるということは、体内で妊娠にマイナスに作用するなんらかの問題が起こっている可能性があることを表しています。

また血の塊をともなう出血は、妊娠中にもみられるケースがあります。

妊娠初期の多少の出血は問題ない場合もありますが、血の塊が出たり月経の出血量が多い日と同程度の量の出血があったりした場合はすぐに救急外来を受診しましょう。

月経中に血の塊が出た場合の受診の目安

テーブルに置かれたカレンダーと、体調が悪そうにお腹と頭を押さえる女性の画像

月経中に血の塊が出る場合、その頻度や大きさ、体調などによって受診の必要性の有無が異なります。

月経の際、経血とともに小さな血の塊が出る程度であればとくに問題はありません。

排出される血の塊が約25mm以上の大きさだったり、レバー状の塊がナプキンを交換するたびにみられるほど頻繁に出たりする場合は受診をおすすめします。

また血の塊がたまに出る程度でも、以下の症状がある場合は放置せず早めに婦人科を受診しましょう。

  • 出血の多い状態が7日以上続く
  • ナプキンを1時間に1回交換しても足りない
  • 夜用ナプキンが一晩もたない
  • 月経痛がだんだんひどくなっている
  • 経血量が増加した
  • めまいやたちくらみなどの貧血症状が起こりやすい
  • 頭痛や倦怠感を感じやすい

過多月経を引き起こしていると、月経の際に血の塊が排出されたり上記のような症状がみられたりします。

過多月経は婦人科系の疾患や女性ホルモンの分泌異常が原因である可能性が高く、内科系の病気が原因となっているケースもあります。

とくに子宮の病気には症状がないものも多いため、可能なかぎり早く受診しましょう。

まとめ

今回は月経時にみられる血の塊について、原因や受診の目安、妊娠への影響の有無について紹介しました。

経血の量が多く大きな血の塊が頻繁に混ざっていたり、月経痛がだんだんひどくなったりしている場合は早めに婦人科を受診することをおすすめします。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、患者さんと相談しながら月経異常や子宮内膜症などのさまざまな婦人科系の治療をひとりひとりにあわせた方法で行います。

プライバシー管理や衛生管理が徹底された個室診療で安心・安全のオーダーメイド治療が可能です。

月経の悩みから妊娠・出産の悩みまで幅広く相談できるいきつけの産婦人科医院として、ぜひご利用ください。

#月経 #血の塊 #生理

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