着床すると基礎体温はどう変化する?低温期・高温期の違いや正しい測り方について解説
妊娠を望むなら、基礎体温を測って記録することから始めましょう。
基礎体温の変化を記録しておくことで、排卵日がいつなのか、妊娠しているかなどを把握しやすくなります。
この記事では、着床すると基礎体温がどのように変化するのか解説します。
基礎体温の変化の流れや正しい測り方についてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
基礎体温とは
基礎体温とは、食事や運動による影響を受けず安静な状態で測ったときの体温です。
女性の正常な基礎体温には低温期と高温期があり、これらは女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌と深く関わっています。
低温期と高温期に分かれていることを二相性といい、これがあると排卵している可能性が高いです。
基礎体温の変化の流れ
基礎体温は排卵時期を境に、「低温期」と「高温期」に分かれます。(二相性)
女性の生理周期は『月経期』『卵胞期』『排卵期』『黄体期』の4つに分けられ、月経期から排卵期が始まる頃までのエストロゲンの分泌が盛んな時期が低温期、プロゲステロンの分泌が盛んな黄体期が高温期に該当します。
- 月経期:生理期間
- 卵胞期:卵巣の中で卵子が成長する期間
- 排卵期:排卵が起こる期間
- 黄体期:妊娠しやすい状態を作る期間
低温期と高温期は0.3℃以上の差と定義されており、高温期は2週間以上続くことが望ましいです。
ここでは低温期と高温期の特徴についてそれぞれ解説します。
低温期
低温期は卵巣から分泌されるエストロゲンの量が増える時期です。
エストロゲンの分泌量が増えて血中濃度が一定値を超えると、脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)の量が増加し、これによって『LHサージ』と呼ばれる現象が起こります。
LHサージはいわば妊娠のチャンスを大きく左右するホルモンの変動のことで、黄体形成ホルモンが急激に増えると24〜36時間以内を目安に排卵が起こります。
LHサージが起こるタイミングを知っていれば、排卵期を正確に判定したり妊娠に適したタイミングを把握したりすることが可能です。
排卵は、基礎体温が一時的に最低温になる『体温陥落日』、体温が下がった翌日の『低温相最終日』、体温が上昇し高温相へ移行する『高温相初日』のいずれかで起こるとされます。
排卵後は卵胞が黄体へ変化し、プロゲステロンの分泌が盛んになり高温期へと移行します。
低温期は月経開始から2週間ほど続くとされますが、卵子が成長する時間には個人差があるため、確実にこの期間と断定することは難しいです。
高温期
高温期は黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌量が盛んな時期です。
黄体ホルモンは子宮内膜を維持する作用と体温を上昇させる作用があるため、分泌量が増えることで高温期が続きます。
高温期が続く期間は約2週間程度で、その後妊娠していない場合は体温が下がって生理が来るという流れになります。
着床した場合の基礎体温の変化
通常プロゲステロンの分泌は2週間程度で終わり、それに伴って高温期から低温期へと移行しますが、着床して妊娠が成立するとプロゲステロンの分泌が止まらず高温期が続きます。
17日以上高温期が持続している場合は、妊娠の可能性が高いと考えられるでしょう。
37℃以上なら妊娠が成立しているという説もありますが、着床時の基礎体温の明確な基準はありません。
普段から基礎体温をしっかり記録しておき、高温期の日数や生理周期などを確認することが大切です。
また着床した場合は、高温期が持続するほかにも以下のような症状が現れる場合があります。
- 着床出血
- 着床痛
- おりものの変化
- 疲労感
- 睡眠の変化
- 胸の張りや乳首の痛み
- 情緒不安定
- 風邪のような症状
上記のような症状の有無には個人差がありますが、着床のサインとして考えられるもののため参考にしてみてください。
着床時期に基礎体温が下がる原因
着床していても高温期が続かず、基礎体温が下がってしまう場合があります。
基礎体温が下がる原因としては以下のようなものが挙げられます。
- インプランテーションディップ
- ホルモンバランスの変化や風邪による影響
- 測り方が間違っている
- 流産の可能性がある
ここでは上記の原因についてそれぞれ解説します。
インプランテーションディップ
インプランテーションディップは、『Implantation(着床)』と『dip(下がる)』を組み合わせて作られた言葉で、着床時期に基礎体温が一時的に下がる現象です。
高温期の途中に起こるとされる現象ですが、なぜこのような現象が起こるのか医学的には未だ解明されていません。
1〜2日程度体温が下がった状態が続き、その後体温が上がるのが特徴です。
3日以上体温が下がった状態が続く場合はインプランテーションディップではなく、低温期に移行したと考えるべきでしょう。
ホルモンバランスの変化や風邪による影響
着床時期に基礎体温が下がると妊娠していないのかと肩を落とす方もいるかもしれませんが、正常な妊娠であってもホルモンバランスの変化や風邪による影響で基礎体温が下がることがあります。
基礎体温はホルモンバランスによる影響を受けやすいため、一時的に低下したり体温の上下を繰り返したりする場合があるのです。
ホルモンバランスは心身の疲労やストレス、体調不良などによって乱れることがあります。
数日間という短いスパンで判断するのではなく、週単位の長いスパンで基礎体温をチェックすることが大切です。
測り方が間違っている
着床時期に基礎体温が下がる原因として、そもそも測り方を間違えている可能性も考えられます。
基礎体温は環境による変化を受けやすいため、夏や冬などの室温が変わりやすい時期は特に注意が必要です。
正しく基礎体温を測るためには、同じ時間帯・同じ環境で計測するよう心がけましょう。
基礎体温の正しい測り方は以下の通りです。
基礎体温の正しい測り方
基礎体温は体を動かす前に測る必要があるため、朝起きたとき布団から出ずに寝た状態で測らなくてはいけません。
二度寝をしたり寝返りを打ったりすると体温が上がってしまう可能性があるため、朝起きて一番に計測することが大切です。
動かなくても基礎体温を測れるよう、枕元の手が届く位置に体温計を準備しておきましょう。
基礎体温計の測定位置
基礎体温計は体温が安定している口の中で測定するのが一般的です。
口の中は脇で測る場合と違って、汗や外気の影響を受けずにより正確な体温を測定できるためです。
口の中で基礎体温を測る際は、舌の下にある中央筋の根元部分に当てるようにしましょう。
左右どちらかのくぼみに当てて測ることで安定しやすくなります。
また正確な基礎体温を測るためには毎日同じ位置で測定することが重要になるため、測る位置は決めておくことが大切です。
流産の可能性がある
流産が起こると基礎体温を上昇させるプロゲステロンの分泌が低下するため、基礎体温が下がります。
なお、流産には子宮内容物がすべて出る『完全流産』と子宮内容物の一部が子宮内に残る『不全流産』があり、不全流産の場合は基礎体温が下がらない場合があります。
不全流産の場合は子宮内容物を取り除く手術を行わなくてはいけないため、早めに病院を受診しなければなりません。
着床時期に基礎体温が下がってしまったら生理開始予定日の1週間後を目安に、妊娠検査薬を使ってみましょう。
検査結果が陰性の場合は流産の可能性が考えられ、陽性の場合は他の原因が考えられます。
どちらにせよ、産婦人科を受診して医師による診察を受けることが大切です。
基礎体温の変化からわかること
基礎体温を毎日計測して折れ線グラフにしたとき、低温期と高温期の二相に分かれるのが理想の状態です。
しかし基礎体温はホルモンバランスの変化による影響を受けやすいため、全員必ずしも綺麗に二相に分かれるわけではありません。
例えば以下のような変化が見られることがあります。
- 高温期が短い場合
- 低温期がずっと続いている場合
- 低温期と高温期が分かれていない場合
ここでは上記3つのケースについてそれぞれ解説します。
高温期が短い場合
高温期は2週間程度を目安に続くとされますが、それよりも極端に短い場合は『黄体機能不全』という病気の可能性があります。
黄体機能不全はプロゲステロンが十分に分泌されず、不正出血や不妊、流産などを引き起こすものです。
プロゲステロンには子宮内膜を厚くする作用があるため、これが十分に分泌されないと着床しづらくなり不妊の原因になります。
妊娠を望む場合は治療が必要となるため、なるべく早めに産婦人科を受診しましょう。
低温期がずっと続いている場合
ホルモンバランスが乱れていると、低温期がずっと続くことがあります。
ホルモンバランスが乱れる原因は疲れやストレス、食生活の乱れ、睡眠不足などが考えられるため、生活習慣を見直してみましょう。
また低温期が長期間続く場合に考えられる原因として、多嚢胞卵巣症候群などによる排卵障害もあります。
多嚢胞卵巣症候群は卵胞の成長が途中で止まり、本来なら定期的に起こるはずの排卵が起こらない病気です。
無月経(月経がない)や希発月経(月経周期が正常より長く頻度が少ない)などの月経異常が現れたり、肥満や血糖値上昇などの症状が現れたりすることがあります。
治療せずに放置すると子宮体がんや不妊の原因にもなるため、なるべく早めに治療を行うことが大切です。
低温期と高温期が分かれていない場合
基礎体温のグラフがガタガタになっていて低温期と高温期が分かれていない場合、不規則な生活が原因となっている可能性が高いです。
ストレスや睡眠不足、食生活などによりホルモンバランスが乱れると、低温期と高温期が二相に分かれないことがあります。
また測り方を間違えている場合も基礎体温がガタガタになったり変化しなかったりすることがあるため、必ず正しい方法で基礎体温を測りましょう。
まとめ
基礎体温には低温期と高温期があり、生理周期と合わせて変動します。妊
着床して妊娠が成立すると低温期に移行せず高温期が続くため、17日以上高温期が続く場合は妊娠の可能性が高いです。
基礎体温をきちんと記録しておくことで、低温期・高温期がそれぞれ適切な期間続いているか、体温に差があるか、排卵が起きているか、妊娠しているかなどを判断することができます。
三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、患者さん一人ひとりに合わせた検査・治療を心がけています。
土曜の診療にも対応しているため、妊娠に関してお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
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