不妊治療で起こりやすい副作用を4つ紹介!原因と対処法を解説
不妊治療の中でも、体外受精を行う場合に母体に副作用が現れやすくなります。
不妊治療にはタイミング法、人工授精といった方法がありますが、体外受精は排卵誘発剤を用いることから副作用のリスクが大きくなるのです。
とはいえ、すべての妊婦さんに症状が現れるわけではありませんし、軽症で済む場合もあります。施術している医師の方に相談し、薬の量を減らすなどの対処方法もあります。
この記事では、体外受精の場合に起こりやすい4つの副作用と、排卵誘発剤を使う時に体調変化が出てしまう理由について解説します。
体外受精で起こり得る代表的な4つの副作用
体外受精で不妊治療をした場合、以下の4つの副作用が起こる可能性があります。
- 卵巣過剰刺激症候群
- 腹腔、及び膀胱内出血
- 骨盤内感染症
- 多胎妊娠
骨盤内感染症と多胎妊娠の確率は、ごく低いものです。では、一つ一つどのような症状なのか見ていきましょう。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵誘発剤や卵巣刺激剤の影響で起こる副作用です。排卵誘発剤とは、卵胞の成長を促して排卵されやすくするための薬です。
投与することによって、一度にたくさんの卵胞が育ってしまうことがあります。その結果、卵巣が膨れ上がりお腹に圧迫を感じたり、腹腔に水が溜まることがあります。
この他にも頭痛や眠気、吐き気や下痢、呼吸困難などの症状が現れることもあります。もっとも重篤なもので腎機能障害や血栓症がおこることもありますが、症例としては僅かです。
どのような症状が現れても、それに応じた治療と対応が行われます。
腹腔内、膀胱内出血
排出された卵子を採卵する際に、超音波を当てる影響で腹腔内あるいは膀胱内に出血が起こることがあります。出血の量が多い場合は、様子を見て手術をすることもあります。
とはいえ、そこまで重症となるケースはごくわずかです。多くは自然に治癒していきます。
また、卵巣の位置が通常よりずれた場所にあり、膀胱を経由して採卵しなくてはならない場合もあります。
こうしたケースでも、しばらく尿に血が交じることがありますが、一過性のものです。長引く出血がない限り、特に医師の診断や治療は必要ありません。
骨盤内感染症
採卵の途中で膣内に細菌等が侵入して起こる感染症です。採卵や検査に用いられる器具は常にしっかりと消毒されており、めったに起こらない症例です。
しかし、過去に卵巣チョコレート膿腫といった子宮内膜症(子宮内膜が子宮以外の場所にできてしまう病気の総称)、卵管水腫を起こしたことがある人は注意が必要です。
多胎妊娠
双子や三つ子の妊娠を多胎妊娠と言います。
体外受精の場合、これを防ぐために胎内に戻す受精後の胚は必ず一つだけにします。ですが、まれにその後で胚が自然に分裂し、双生児となることがあります。
多胎妊娠は、通常妊娠の場合でも妊娠高血圧症や早産となる確率が高く、経過観察が重要になります。必要なら入院して様子を見たり、帝王切開での出産などの方法が取られます。
異所性妊娠
子宮でなく卵管などに受精した胚が着床してしまうことです。卵管に問題がある場合に起こりやすくなります。
排卵誘発剤による副作用・OHSSの対応と治療
OHSSが起こっている状態では、母体の負担が大きいので受精卵を着床させずに冷凍して保存し、体調の回復を待って再度子宮に戻すという対処が行われます。
また、予め経膣超音波診断や血液検査を行い、子宮や卵巣、卵管の状態をしらべてOHSSのリスクがどれだけあるのか診断することもあります。排卵誘発剤の副作用が不安な場合は、不妊治療を受けるクリニックに依頼して調べてもらうといいでしょう。
比較的軽度な症状である頭痛や眠気も、仕事を続けなくてはいけないときには辛いかもしれません。必要に応じて薬の量を減らしたり、投薬を中断するなどの判断を仰ぎましょう。
マイルド法の実施
体外受精には、マイルド法と呼ばれる治療方法もあります。排卵誘発剤の刺激をできるだけ小さくすることで、卵巣への負担を減らすものです。
投与する薬の量を減らしたり、回数を少なくすることで、母体への負担を軽減します。費用も低価格で済むメリットもあります。
とはいえ、刺激が小さい分卵胞の成熟も穏やかになったり、採卵できる確率が低下するデメリットもあります。
また、健康な胚に成長できない可能性も高くなるということを知っておく必要があります。
体外受精以外の不妊治療の副作用
体外受精以外の不妊治療には、タイミング法と人工授精があります。
タイミング法はより自然に妊娠を促す方法で、人工授精は子宮の中に男性から採精した精子を直接注入する方法です。
それぞれの副作用の有無について解説します。
タイミング法の副作用
タイミング法は、医師に卵子の成熟具合を診断してもらい、排卵検査薬をもちいて排卵のタイミングを正確に測るなどしたうえで、最も妊娠しやすいと判断できた日を選んで性交渉を実施する不妊治療です。
排卵された卵子が未成熟であった場合、妊娠の可能性が低くなるため、卵子の成熟を促す目的で排卵誘発剤や、ヒト絨毛性ゴナドトロピンという薬品を投与することがあります。
ヒト絨毛性ゴナドトロピンとは、妊娠するために必要な女性ホルモンのプロゲステロンの生成を助ける働きをします。
ヒト絨毛性ゴナドトロピンも、排卵誘発剤と同様に女性ホルモンを刺激するものです。そのため、OHSSと同様の副作用が見られることがあります。
症状が深刻な場合はすぐに投薬を中断する対応が可能です。しかし、その分妊娠の可能性も低くなってしまいます。
なにより、タイミング法は排卵や卵管、卵巣、子宮に問題なく通常妊娠が可能である女性と、男性側にも不妊のリスクがない場合にしか効果を期待できません。
加えて、仕事を持つ夫婦がタイミングを合わせて性行為を行うという難しさもあり、不妊治療としての成功率も低くなってしまうのがデメリットです。
人工授精の副作用
人工授精は、タイミング法で効果を得られなかった場合に用いられる不妊治療です。男性から採取した精子を直接女性の子宮に注入することで、受精の確率を高めます。
タイミング法に次いで自然妊娠に近い治療法ですが、タイミング法と同じく卵子の卵胞の成熟を促すために排卵誘発剤を処方する場合があります。
その場合は、やはりOHSSのリスクを考えておかなくてはなりません。
また、子宮に注射器などを挿入する必要があることから、ごくまれにですが出血を伴ったり感染症が起こる場合もあります。
人工授精の施術実績の多いクリニックなら、ほぼ心配ありません。事前に人工授精の場合の合併症の事例について質問してみるといいでしょう。
タイミング法を何度も行い、なお妊娠に至らないカップルには有効な治療方法です。ステップアップの手段として検討してみるのもおすすめです。
まとめ
体外受精、人工授精、タイミング法のいずれも、排卵誘発剤を用いることで卵巣を刺激し、さまざまな副作用が起こるリスクを抱えています。
人工授精とタイミング法は、そのリスクをできるだけ回避するための方法と捉えることができます。
排卵誘発剤の使用に際し、副作用をなるべく起こさないよう予め診断してもらうこともできますし、副作用が出てしまった場合も投薬の調節ですぐに対応可能です。
自然妊娠の場合でも、妊娠出産は女性の体に大きな負担を掛けます。だからこそ、定期的な検診で合併症の早期発見が心がけられています。
「三軒茶屋ウィメンズクリニック」では、一人でも多くの患者さんのサポートができるように、一人ひとりに合わせた検査や治療を心がけています。
治療の方法も複数提案可能で、赤ちゃんを望むカップルに最適な方法で妊娠を目指してます。事前の検査や診察の相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
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