不妊治療に使用されるクロミッドの効果は?服用方法やメリット・デメリットを紹介
不妊治療をうける際には、排卵誘発剤やhCG製剤、卵胞ホルモン剤など、さまざまな薬剤を使用する場合があります。
しかし、薬剤の効果や副作用をあまり理解していない状況で服用することに対して、抵抗のある方は多いのではないでしょうか。
不妊治療において薬剤の使用は、非常に効果的な治療法の1つとして挙げられます。
薬剤の効果や副作用に対する知識を学んでおくことで、安心して治療に取り組むことができるでしょう。
この記事では、不妊治療の際に多く使用されるクロミッドについて詳しく紹介します。
クロミッドの効果と副作用
クロミッド(クロミフェンクエン酸塩)は、不妊治療の際に多く使用されており、医師国家試験でも取り上げられるほどメジャーな薬剤の1つです。
ここでは、クロミッドの効果と副作用について紹介します。
効果
クロミッドは、脳内の排卵に関わる部位に作用することで、排卵を促す排卵誘発剤です。効果としては以下の3つが期待できます。
- 排卵の誘発
- 排卵数の増加
- 月経周期の安定
クロミッドは排卵障害を抱える方、自然に近い排卵で体外受精を希望する方、費用を抑えながら治療を受けたい方に使用されることが多くあります。
クロミッドの主成分は「クロミフェンクエン酸塩」で、排卵に必要な卵胞刺激ホルモンと黄体刺激ホルモンの分泌を促す効果が期待できます。
また、クロミッドはもともと女性の方の不妊治療に使用される薬剤ですが、脳のホルモン中枢に作用して精巣を刺激するホルモンを増やすことで、精子や男性ホルモンを作る働きを改善する効果があります。
副作用としては倦怠感やほてりなど、ホルモンバランスの変化により症状が起きる場合がありますが、いずれも軽微です。
なお、男性の方の場合は長期間服用を続けると、女性ホルモンの作用が現れることがあるため、2日に1回の服用となります。
副作用
クロミッドの服用により起こる可能性がある副作用は以下の通りです。
- 卵巣が腫れて腹痛を起こす
- 目のかすみや発疹
- 頭痛
- 吐き気
- 倦怠感
その他の懸念点としては、子宮内膜が薄くなる・経管粘液の減少などがあり、クロミッドの使用期間が長期化するにつれて、これらの発生頻度は上昇します。
また、クロミッドを使用して妊娠した場合には、自然妊娠と比べて流産する確率が少し高くなります。
クロミッドにより卵巣が過剰に刺激されることで、1度で排卵する卵子の数が多くなる場合があり、その結果として、双子や三つ子を妊娠する可能性が考えられるでしょう。
クロミッドの服用中に副作用と疑われる症状がみられた際や、不安なことがあれば治療をうけている病院にご相談ください。
クロミッドの服用方法
ここでは、クロミッドの服用方法について詳しく紹介します。なお、クロミッドの服用方法に関しては治療をうける病院によって異なる場合があります。
通常の服用方法
一般的には、月経開始日やホルモン剤による出血開始日を月経周期1日目として、月経周期5日目から5日間、1日1錠ずつ服用します。
また、月経周期14日〜15日目に超音波検査で卵胞の大きさを調べ、18mm〜20mm以上であればタイミング指導を行う場合があります。
反応が弱い方の服用方法
5日間1日1錠の服用で卵胞の発育がみられない場合には、さらに5日間1日1錠の服用を追加し、卵胞の発育の確認を行います。
それでも卵胞の発育に変化がみられない場合には、ホルモン剤を使用して消退出血を起こしリセットします。
また、その後には月経周期5日目から1日2錠に増量して5日間服用するか、クロミッドを増量せずに服用期間を7日〜10日間に延長する場合もあります。
反応が強すぎる方の服用方法
5日間1日1錠の服用で2個以上の卵胞が18mm以上に成熟した場合、排卵に合わせて性交渉を行うことで、双子や三つ子を妊娠する可能性があります。
多胎妊娠は母子ともに出産に対するリスクが高いため、その周期では妊娠しないようにタイミング指導を見送ることが考えられます。
次の周期には、1日1錠の服用期間を3日〜4日間に短縮し、1個の卵胞のみが18mm以上に成熟した段階で、排卵を促す注射を使用することがあります。
クロミッドを服用する5つのメリット
ここでは、クロミッドを服用する5つのメリットを紹介します。主なメリットは以下の通りです。
- 卵巣刺激効果
- 経済的な治療法
- 生殖内分泌学的な疾患に効果的
- 安全性が高い
- 他の不妊治療法との併用が可能
それぞれの特徴について、詳しく紹介します。
卵巣刺激効果
クロミッドには卵巣刺激効果があります。卵巣は排卵するために卵胞を成熟させますが、この成熟にはホルモンの働きが必要です。
クロミッドは、卵胞が成熟するために必要なホルモンの分泌を促進させるため、卵胞が成熟しやすくなります。
そのため、卵子が排出されやすくなり、妊娠の可能性が高まることが期待できます。
ただし、過剰に卵巣を刺激しすぎることで多数の卵胞が成熟するため、多胎妊娠のリスクが高まる場合があります。
服用の際には医師の指示に従い、適切な用量で服用を行うことが重要です。
経済的な治療法
クロミッドは、不妊治療において比較的費用が安い治療法で、費用相場としては保険適用の場合で約1万円〜となっています。
一方で、治療費に関しては個人差があり、治療方法の併用や回数によっては負担が大きくなることが考えられます。
医療費控除の制度もありますが、具体的に医療費控除の対象となるかどうかについては、国や自治体によって異なるため、詳細は病院に相談することをおすすめします。
生殖内分泌学的な疾患に効果的
クロミッドは、女性の方の生殖内分泌学的な疾患に効果的な不妊治療薬です。
この薬剤は、排卵障害が原因で妊娠が困難になっている女性の方に対して、排卵を促進することで妊娠を促します。
主に卵巣機能不全や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方に使用され、脳下垂体からのホルモン分泌を調整する作用があります。
この作用によって排卵を促進し、妊娠率を高めることができます。
生殖内分泌学的な疾患による不妊症に対して、クロミッドは有効な治療法として使用され、多くの女性の方の妊娠に貢献しています。
安全性が高い
クロミッドは一般的に安全性が高いことで認知されています。
比較的短期間の服用であれば、多くの人が副作用を経験することなく排卵を促進することが可能です。
適切な量と期間を守り医師の指示に従えば、クロミッドの服用に対するリスクは少なく、安心して使用することができるでしょう。
そのため、妊娠を望むご夫婦にとって有効な治療法の1つであるといえます。
他の不妊治療法との併用が可能
クロミッドは、他の不妊治療法との併用が可能です。
例としては、人工授精と組み合わせた治療が行われることがあります。この場合、クロミッドが排卵を促進する役割を担い、人工授精によって受精させることで、妊娠の可能性を高めることができます。
また、体外受精や顕微授精とも併用が可能であり、状況に応じて最適な治療法の組み合わせが選択されます。
ただし、併用によって副作用や合併症のリスクが高まる場合があるため、医師との十分な相談が必要です。
クロミッドを服用する3つのデメリット
ここでは、クロミッドを服用するうえでの3つのデメリットを紹介します。主なデメリットは以下の通りです。
- 多胎妊娠のリスク
- 頭痛や吐き気
- 月経周期の変化
それぞれの特徴に関して詳しく紹介します。
多胎妊娠のリスク
クロミッドは卵巣刺激効果があるため、卵巣が複数の卵胞を発育させる可能性があります。
その結果、多数の卵子が受精し、多胎妊娠のリスクが高まることが考えられます。
多胎妊娠は母子ともに負担が多くあり、特に双子以上の場合は早産や流産などの危険性が高まります。
また、多胎妊娠になった場合、妊娠中の管理や出産にも多くのリスクがともないます。そのため、クロミッドを服用する際には、定期的に超音波検査や血液検査を受け、多胎妊娠の危険性について考慮する必要があるでしょう。
頭痛や吐き気
クロミッドの服用による頭痛や吐き気は、比較的一般的な副作用の1つです。
これらの症状は、薬剤が影響を与える脳の部位に直接関連している可能性があります。
吐き気や嘔吐は、服用を開始した最初の数日間に起こるのが一般的で、とくに服用量が多い場合に生じる可能性が考えられます。
頭痛は比較的まれな副作用ですが、服用を続ける間に発生することがあり、これらの副作用が重度である場合、服用を中止することがあります。
そのため、クロミッドの服用を続けている間は、医師に副作用の状況を定期的に報告することが重要です。
月経周期の変化
クロミッドを服用する際に、月経周期に変化が生じる場合があります。
とくに、服用開始後に月経周期が短くなることが多く、排卵後の黄体期も短くなることが報告されており、これはクロミッドが排卵前に卵胞を成熟させ、排卵を促進するために黄体ホルモンの分泌を増やす作用があるためです。
また、クロミッドは卵胞を刺激するため、卵巣に負荷をかけることがあります。このため、排卵前に卵巣の腫れや痛みを感じることがあることが考えられます。
月経周期に変化が生じた場合、医師に報告することで服用の調整が必要になる場合があるでしょう。
まとめ
この記事では、不妊治療の際に多く使用されるクロミッドについて詳しく解説しました。
クロミッドを服用することで得られる効果としては、排卵の誘発・排卵数の増加・月経周期の安定などがあり、自然に近い排卵で体外受精を希望する方や、費用を抑えながら不妊治療に臨みたい方に多く使用されています。
しかし、薬剤を服用するということはメリットばかりではなく、なかには副作用が起きることもあります。
主な副作用としては、倦怠感や吐き気、目のかすみなどが挙げられますが、服用中にそれぞれの症状がみられた場合には、通院している病院に相談することが重要です。
「三軒茶屋ウィメンズクリニック」では、クロミッドを使用した不妊治療法以外にも、人工授精や体外受精、顕微授精など、患者さんの状態にあわせた治療法を提案いたします。
最新の医療技術を取り入れながら、一般不妊治療から高度生殖医療まで、患者さんに提供できる検査や治療環境を幅広く整えています。
不妊治療に使用する薬剤のことで不安がある場合には、お気軽に三軒茶屋ウィメンズクリニックにお問い合わせください。
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