「ERA」「EMMA」「ALICE」
近年、子宮環境が妊娠に大きく影響していることが分かり、注目を集めているのが子宮内膜検査です。この検査により、原因を特定できる可能性が高くなってきています。
そこで「ERA(エラ)」「EMMA(エマ)」「ALICE(アリス)」についてご説明していきます。
ERA(子宮内膜着床能検査)
子宮内膜には着床に適した期間『着床の窓』があります。
この期間は個人によって異なるため、検査で特定することで最適な時期に胚移植を行い、妊娠を目指します。
<対象者>
- 良好な胚を移植しても妊娠に至らない方
- 胚移植をする時期をあらかじめ調べたい方
<検査方法>
子宮内膜を採取し、抽出した組織を遺伝子解析することで、着床の窓を明らかにします。
具体的には、通常の凍結融解胚移植の時の様に、ホルモン補充を行い、黄体ホルモン投与開始日を1日目とし、6日目に子宮内膜を採取します。
<結果について>
ERA検査で着床の窓がずれていた場合、ホルモン補充の時期を調整して胚移植を行うことで、約25%が妊娠に至っています。
結果が出るまでには3~4週間かかります。
<注意事項>
検査は一時的に多少の痛みや出血を伴うことがあります。
ERA検査の周期には胚移植を行うことができません。
妊娠の可能性がある場合、検査はできません。
ホルモン補充、検査等ERAに関わる費用は保険適応とはなりません。
<副作用>
頻度は稀ですが、検査により大量出血や感染、子宮穿孔等の可能性があります。
EMMA(子宮内膜マイクロバイオーム検査)
子宮内膜の細菌環境が、胚移植に最適であるかを判定します。
子宮内は善玉菌と言われる乳酸菌がほかの細菌よりも多い状態が正常です。乳酸菌は着床や妊娠率に大きく関わりますので子宮内環境を改善する(乳酸菌の割合をあげる)ことにより着床・妊娠率が向上します。
ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)
慢性子宮内膜炎を起こす原因となる細菌を調べます。つまり着床にとって悪い菌が子宮にどのくらいあるのかを調べる検査です。これは不妊症・不育症の原因の一つになります。不妊症患者の約30%が罹患しています。不育症の方や胚移植しても着床しない方では約60%が罹患しています。
慢性子宮内膜炎とは、病原菌が子宮内膜と子宮筋の間の基底層にとどまり、症状もなく子宮内膜の炎症が持続し慢性化した状態のことです。
<対象者>
- 反復して着床しない方
- 着床しやすいように子宮環境を整えておきたい方
- 早期の流産をした方
<検査方法>
月経開始15日目から25日目の間に子宮内膜を採取します。
<結果について>
慢性子宮内膜炎の原因菌が検出された場合は、その菌に合わせた抗生剤を投与し、個別的な治療を提案します。
結果が出るまでには3~4週間かかります。
<注意事項>
検査は一時的に多少の痛みや出血を伴うことがあります。
妊娠の可能性がある場合、検査はできません。
検査や検査に関わる費用は保険適応となりません。
ERA検査と同時に行うことが可能です。
<副作用>
頻度は稀ですが、検査により大量出血や感染、子宮穿孔等の可能性があります。
<検査料金>
同時にできる検査や単独でできる検査など費用が異なりますので、来院時にお尋ねください。
反復不成功例で治療を諦めかけている方は、何も手だてをしないよりは検査を試されることをおすすめします。新たな道が開けることもあります。それぞれの検査を有効に使うことで妊娠・出産のチャンスが増えていくと思います。
院長 保坂 猛
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