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精子の異常な減少傾向と不妊症

 精子の異常な減少傾向と不妊症

現代の男性は、かつてと比べて精液の中に含まれる精子の数が減少しているという話を耳にしたことはないでしょうか?

実際に、男性の精子に問題があるというデータはよくメディアに流れています。
精子の数の減少や、精子の運動率の劣化、そして奇形精子の増加などの報告です。

性器の先天性異常で、精子に影響が現れることはありますが、それよりも現代風のライフスタイルが精子の数や質に悪影響を及ぼしている傾向のほうが顕著なのです。

最近の日本の男性を取り巻く環境もさまざまです。

1.生活習慣病(高血圧症、糖尿病、動脈硬化…etc.)の蔓延 伝統的な食生活からかなりかけ離れた食生活を送っている男性がたくさんいますが、精子への影響も少なくないようです。

2.ストレスの蓄積 人間関係から受けるストレスや、労働環境から与えられるストレスなど、さまざまなストレスが精子に悪影響をもたらします。

3.環境ホルモン 個人では対処できない問題ですが、最近は環境ホルモンが精子の数を減らす一因になっているという研究結果がよく発表されています。
まだ研究は進んでいる途中であって、あくまでも全容が明らかにされたわけではありません。
環境ホルモンが精子を絶対に減らしているとは断定できませんが、決して無視できない問題のひとつです。

精子形成障害

不妊症の原因は、女性ばかりにあるとは限りませんが、男性に原因がある場合の、約90%を占めているのが精子形成障害です。
言い換えれば、不妊症の男性は何らかの精子形成障害を発症していることが圧倒的に多いのです。
精子形成障害の定義は広く、精子の数が少ない症状や運動率のある精子が足りない症状、さらに精子をつくる能力がない症状まで及びます。

精子の異常


 精子減少症(乏精子症)

精液1mlにつき精子の数が2000万以下の症状

 精子減少・無力症

精液1mlにつき精子の数が2000万以下で、精子の運動率も劣る(運動する精子が50%以下)症状

 液化不全

射出される精液はゼリー状をしていますが、通常30分くらいたつと液状になります。 この液化が起こらない場合も不妊症の原因のひとつです。

 抗精子抗体

精子を抗原とする一種の免疫反応です(男性にも女性にも発生する可能性があります。
いずれにしても発症することはまれです)。
精子が凝集・不動化してしまうため受精ができなくなります。
女性の側に抗体がある場合は人工授精か体外受精を考慮する必要があります(女性に対しての検査はこの場合は簡単で、採血するだけでわかります)。

 染色体異常

さまざまな精子形成障害を引き起こす症状のひとつに染色体異常があります。
染色体異常で妊娠できないことが明らかになったら、いずれかの方法で妊娠を試みることになります。

 精索静脈瘤

精巣から腎臓まで伸びた静脈の弁に問題があるときに起こる症状です。
血流が滞りがちになりますが、その部分の血管がコブのように膨張してしまいます。その結果、精巣の中の酸素が不足したり、温度が上昇したりすることでせっかくつくられた精子が死滅したり、働きが悪化したりしてしまうのです。
精索静脈瘤が発症すると、陰嚢の表面にコブ(左側にできることが多いようです)ができますから、不妊症の中では比較的見極めやすいといえます。
精索静脈瘤が発症した場合、どれくらいの影響が出るかは人によってかなり差があります(実際に、一般男性の10~15%が精索静脈瘤を発症しているというデータもあるほどです)。
それでも、不妊症の治療に訪れる男性の25~40%が精索静脈瘤と診断されていますから不妊症の男性患者の中ではかなりの割合を占めることになりますし、症状が進むと、精巣が萎縮してしまう男性もいるくらいですから、人によっては大きな影響を受ける恐れがあります。
精索静脈瘤と診断された場合は、コブの部分を縛る手術で処置が可能です。
そのほか、精子を活性化させる薬物治療が利用されることもあります。
精索静脈瘤の治療だけでは妊娠に成功しない患者も少なくありません。
精索静脈瘤の治療が終わっても、他の事情で妊娠が成功しないようであれば、人工授精や顕微授精をおすすめします。

 膿精子症

膿精子症とは、精子の中の白血球が増加して起こる症状です。
増えた白血球は精子を食べてしまったり(精子無力症の主因ともいわれています)、精子の運動率を劣化させたりするため、精子が受精しようとするのを妨げることになります。
精液1ccにつき、10⁶/ml以上の白血球が含まれている場合を膿精子症と定義されています。
肝心な点は、「白血球がどうして急増するのか?」ですが、まだ有力な学説がありません。
ただ、性嚢や前立腺に炎症を起こした男性が膿精子症になる症例が多いことがわかっているため、クラミジアなどの感染症が原因になり得ると唱えている研究者もいます。
膿精子症の治療は薬物の投与が中心です。
炎症が起こっていればそれを抑える薬物を使いますし、漢方薬などを使うこともあります。

 乏精子症

精子が少なくなる症状です。
精子の数はある程度一定に保たれていないと、妊娠に結びつきにくくなります。

2010年WHO精液所見基準:参考データ

量:1.5ml以上

精子濃度:1,500万個/1ml以上

運動率:40%以上

正常形態精子:4%以上


 精子無力症

精子の数が少ないことも妊娠を成功させる上では障害となりますが、多ければそれでOKというわけではありません。
運動率に優れた精子が多いことが重要だからです。
精子は膣内に放出されると、卵子のいる卵管までたどりついて、さらに卵子の殻を破って入らなければなりません。 運動率の劣っている精子ばかりの場合は、妊娠の成功は見込めなくなります。
そのため、精子無力症の定義は現在、以下のいずれかに該当することになっています。

・運動する精子が50%未満
・活発に直進運動をする精子が25%未満
精子無力症は先天性であることが多いのですが、後天性の原因もあります。 精索静脈瘤も原因になり得ますし、前立腺の炎症も同じです。
そして、おたふく風邪をはじめとした高熱を発する病気にかかった男性は、回復しても、高熱で精巣が炎症を起こしていることがあるため、無意識のうちに精子無力症になってしまっていることがあります。
精子無力症には絶対的な治療法はまだ存在しません。
初期は薬物療法を行いますが、効果がなければ顕微授精を行うことになる例も多いようです。


 奇形精子症

WHO(世界保健機関)は2010年に、精子正常形態率を変更しましたが、その結果を受けて、それまでは正常な精子の割合30%未満の場合が奇形精子症と定義されていましたが、それ以後は15%未満に変更されました。
奇形の精子を正常にする方法は見つかっていませんし、奇形の精子が産み出されにくくする方法も見つかっていません。
対策としては、体外受精や顕微授精がよく使われています。
このような方法では正常な精子を選んで受精させることができるのですが、「万一、奇形の精子で妊娠してしまえば、奇形児が産まれてくるのではないだろうか」という懸念を抱く人が少なくないようです。
しかしそれは誤解で、奇形の精子は卵子と受精させようとしてもうまくいきません。
奇形の場合は受精能力がないからです。


 無精子症

精液の中にまったく精子が含まれていない場合は、無精子症と呼ばれます。
この場合は、人為的な手段を選ばない限り、妊娠する可能性はゼロになります。

無精子症になる原因はふたつ考えられています。

1.閉塞性無精子症(精管に問題があって、精子が精液の中に含まれない場合)
この場合は、精巣から精管にかけて検査する必要があります(エコーによる検査が行われます)。
精管のどこかに閉塞している部分がありますから、それを見つけたら、除去手術が行われます。
手術が終了すれば、精子は精液の中に出てくることができますが、仮にそれでもまだ妊娠しないようであれば、体外受精や顕微授精を選ぶことになります。

2.機能性無精子症(精巣に精子をつくる能力がない場合、非閉塞性無精子症とも呼ばれます)
1.の閉塞性無精子症よりも症状は深刻です。
この場合は、さまざまな原因が考えられます。
染色体異常や下垂体・視床下部の障害による低ゴナドトロピン症や薬剤による精巣障害などが考えられます。
あと忘れてはいけないのは、おたふく風邪のような高熱を発する病気で精巣障害が起こる危険性です。

検査としてはまず、精巣生検(TESE)を受けることが重要です。
精巣生検は、顕微鏡で精密な検査をするために、精巣組織の一部を採取することです。精巣組織の一部は、精巣で本当に精子がつくられているのかどうかを確認するためのよい材料となります。
採取はそれほど難しいものではなく、局所麻酔を使って15~20分前後の短時間で行えます。
局所麻酔を投与する注射を除くと、検査の間に痛みを感じることはありませんが、検査後の数日間は精巣に痛みを感じることもあります。
精巣生検を受けたら1~2週間は性行為を控える必要があります。

下垂体・視床下部に原因がある場合は、ホルモン投与のような治療法で精子をつくる機能が改善した例も報告されています。
精巣か精巣上体のどこかに精子が残っていれば、顕微授精できる可能性があります。